人生意気に感ず「女性初の快挙が続く。体操・床の村上、ボクシングの入江。女性の活躍は新しい社会を導

◇体操女子床運動の村上が銅を獲得し、その笑顔が美しい。銅メダルと並べた彼女の笑顔は金の輝きである。女子体操での金メダルは５７年ぶりで個人では初である。その身体能力は幼少から注目された。同じ床のメダリスト池谷さんの体操クラブに４歳から通った。「小学６年で日本のトップレベル以上の技が出来た」という。この良い先生に出会えたことが村上の今日に繋がったのだろう。このような可能性を持つ子どもは限りなくいるに違いない。しかし、それを育てる良き師に会うことは難しい。「千里の馬は常にあれども伯楽は常にはあらず」である。

◇女子ボクシングの入江が金を手にして満開の笑顔を見せている。ボクシング女子で初の金である。リングで激しく打ち合う姿を見て、私は女性にしてここまでやるかと驚いた。もはや五輪の種目では性による壁は無くなるだろう。これは五輪後に大きな衝撃波となってスポーツ一般に影響を及ぼすだろう。そして、スポーツの壁を超えて女性が活躍する舞台を広げるに違いない。

◇五輪も終盤に向うが振り返って女性の活躍が著しいことに驚く。それは社会に女性のパワーが存在する実態に基づくが、開花させたのはオリンピック委員会の「男女平等推進」の方針である。東京五輪は各競技で混合種目を導入し変革を進めた。東京大会は参加者の男女比率ほぼ同数を実現させた最初の大会である。その波及効果は大きいだろうから、五輪後の社会を変えていくに違いない。

◇男子体操の橋本が２個目の金を獲得した。手を高くあげる若者の表情は爽やかで清々しい。それは惜しくも五輪から去る内村航平選手の後継者に相応しい。体操日本はこの若者によって新たな地平線に向けて前進するだろう。

◇熱海土石流事故から一ヶ月が過ぎ２２人の死亡が確認され、なお５人が行方不明である。あの地形と崩落時の信じがたい光景はとても他人事ではない。群馬にも似たような地形は至る所にあるからだ。被災者は「安全だと思って住んでいた場所になぜ土石流が」と訴える。現場は「産廃の捨て場所」であったと言われる。「市内の社員寮の解体物、乗用車数台を埋めた」などという元関係者の証言が続く。正に人災である。だとすればその責任が明らかにされねばならない。それは全国に存在する腐敗した建設業の実態をあばくことに他ならない。この熱海の盛り土問題は近いうちに訴訟の場で争われるに違いない。（読者に感謝）