人生意気に感ず「教科書が変化することの意味。歴史理解の重要性。小さな魚店閉店の意味」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「教科書が変化することの意味。歴史理解の重要性。小さな魚店閉店の意味」

◇高校の教科書が新しくなる。教科書は国際化時代に生きる若者にとって人生の羅針盤の形成に繋がるものだ。教科書の影響は大変なもの。かつて国民を軍国主義に導いたものは国の価値観を押しつけた教科書であった。今回多くの教科書が文科省の検定に合格した。検定は戦前の「検閲」であってはならない。

 教科書の新しい動きの中で私は「探究」の重視と新科目「歴史総合」に注目する。探究重視は知識偏重の弊害を改めて考える力を培うことを目的とする。これはかつて私が議会で強く主張したこと。知識だけを詰め込み試験技術を磨く試験秀才が多い現実は困ったことである。これを改めなければ国の損失であり特に一人一人の人間にとって不幸なこと。文科省が指導要領でこの点を重視したことは教育改革の大きな前進である。

◇新科目の「歴史総合」は近現代史の世界史と日本史を関連づけて学ばせようとするもの。この点はかつて西洋史を学んだ者として長く主張してきたことである。日本史も世界史の一環である。日本の歩みも世界の歩みと関連しながら進んできたのに両者を区別して学ばせることで歴史の理解が形式的となり、時に誤った理解に繋がる恐れがあった。歴史を学ぶ目的の一つは今日の社会を知る手がかりを得ることにある。近代・現代の世界は激しい交流の中で影響し合いながら進んできたのである。だから世界史と日本史を関連させて学ぶことは非常に重要で文科省の動きは遅きに失した感すらあったといえる。

◇社会の変化は急激であり、その一例は身近な動きにも日々現われており寂しく感じる。昨日3月31日、行きつけの小さな魚屋が閉店した。大型店に押される中で親子三人で経営していた小さな店は地域社会の人間関係で少なからず役割を果たしていた。この店の中心になっていた娘は私と親しかった。私が毎朝6時40分頃走っているとそのコース上で市場に向う彼女と出会う。魚屋の娘は活きが良く、私と対面ですれ違うと運転席から身を伸ばして手を振った。この朝の出会いもなくなるのだ。この魚屋だけではない。高齢化もあって櫛の歯が引かれるように通りから小売り店が消える。町から人情が消え干からびていくのは悲しい。

◇社会の変化の先に外国人との共生がある。干からびた文化がこの波にどう対応するのか。(読者に感謝)