「サンパウロ最後の日」 ② 2005年8月29日(月) | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

「サンパウロ最後の日」 ② 2005年8月29日(月)

※土日祝日は「議長日記」及び「議員日記」を連載します。上毛新聞社から出版したもので、議員時代の私の動きを海外の視察も含めて振り返ったものです。

 

午前中サンパウロ日本国領事館を訪ねた。西林万寿夫総領事とは、日本とブラジル、特にサンパウロの関係について親しく話した。地球環境、農業などの問題が今後、地球的規模でますます大きな問題となる。また、中国が食糧の問題でブラジルに接近している等話していた。総領事の部屋に入るまでのセキュリティーが極めて厳しいので、治安の問題について尋ねるとペルーと違ってブラジルではテロはあまり心配されていないが誘拐や殺人が非常に多く治安問題はブラジルで最大の課題だと答えた。因みにこの国には死刑の制度はないという。死刑制度の有無と凶悪犯罪の増加はどう関わっているか難しいところだ。それにしても、南米各国の領事館等のセキュリティーの厳しさと比べ日本国内は何と無防備でのどかなことかと今更ながら驚く。シベリアの著書を渡すと、その中に栗本領事のことが書かれているのに気付き、知りあいですよと言っていた。
 サンパウロ州議会を訪ねた。入り口のホールの大きな壁面にキリストが十字架にかけられた大きな姿がかかっている。カトリックの国ではあるが、この場にキリストの像を掲げることは、政教分離の点から問題にならないのかと気になった。ガルシェ議長は若い長身の男性で31歳だという。ガルシェ議長が日本のことを知りたいと発言したので、「私も同感です。日本とブラジルはこれからますます良い関係を発展させなければならないからお互いに情報を交換し合いましょう」と提案し、固い握手を交わした。議場に案内された。驚いたことの一つは、議長席が非常に高いところにあって議員席を見下ろすようになっていること。また、94人の議員の座席は決められていず、女性議員が11人いるとのこと。明日は3つの州立大の予算に関する審議があるのでおよそ4千人の学生が押し寄せ傍聴席は満席になる。そして、入れない学生は外でテレビを見るとのことである。
 最後に州政府庁を訪ねた。議会もそうであったが、ここでは私たちの来訪に備えて大きな日の丸がひるがえっていた。昨日の式典に出席した副知事が対応。日系人のこれまでの苦労と有能さ勤勉さを高く評価していた。戦国時代にポルトガルから鉄砲とカトリックが日本に伝えられた話をすると、「カトリックに詳しいのは、あなたがカトリックだからですか」と尋ねられた。ポルトガルから独立して以来近代化の歩みを続けているこの国である。

つづく