「サンパウロ最後の日」①  2005年8月29日(月) | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

「サンパウロ最後の日」①  2005年8月29日(月)

※土日祝日は「議長日記」及び「議員日記」を連載します。上毛新聞社から出版したもので、議員時代の私の動きを海外の視察も含めて振り返ったものです。

 

長かった旅も終わりに近づいた。午前6時、グランメリアホテルの窓から森の上に林立する高層ビルが見える。日本では日没が近づく頃である。明日は衆院選の公示の日。新たな渦が待っている。
 昨日スペースの関係で書けなかったことがある。このホテルで会った森田左京氏のことである。前橋市上泉町在住の飯村素和さんの旧制館林中の同級生で手渡す物を頼まれていた。海軍兵学校で終戦を迎え、その後、東大工学部を卒業し、ブラジルへ移住したという。ブラジル三井物産、東芝などを経て現在電力関係コンサルタント業務を扱う森田事務所に所属。駒場の寮にいたというから「私も北寮と中寮にいたが取り壊された」と話したら「残念ですね」と振り返っていた。ブラジルにおけるユーカリ植林の意義、バイオマス発電など、これからの環境とエネルギーについて大きな示唆を得た。頂いた資料によれば、人生の幕を引く時が近づいて「遺骨はサントスの海で散骨すること」と家族に頼んであるとか。今回の南米訪問で感じることは、地球市民として生きている日本人が増えていることだ。日系2世・3世の人たちの姿は「移民」を脱皮して地球市民に成長する過程なのかとも思った。生まれた故郷を遠く離れて他国の人と交わって生きるには「自己」が確立していなければならない。まわりの仲間と支えあって、慰めあって生きていくのと違って、自分という強い芯がなければ流されて自分を見失ってしまうだろう。国際化時代の教育は外国語を教えればよいというものではない。その前に、日本の歴史、文化をしっかり教え、自国の文化を愛すると同じように他国の文化を愛し受け入れる心を養わせることが大切だと思う。日本国内で生きる日本人も地球市民としての自覚が求められるのが21世紀のポイントだろう。

つづく