人生意気に感ず「3・11から10年。原発と原爆。田中正造と黒澤酉蔵・荒畑寒村・幸徳秋水・古河市兵 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「3・11から10年。原発と原爆。田中正造と黒澤酉蔵・荒畑寒村・幸徳秋水・古河市兵

◇東日本大震災から10年目が目前である。3月11日午後2時46分は永く歴史に刻まれることになる。津波は日本国民が永遠に切り離せない宿命である。「3・11」は更に原発事故をもたらした。しかし、これを宿命と位置づけてはならない。国の事故調査委員会等は避けることができた筈の人災であると強調している。大きな問題は教訓として十分に活かされているかだ。日本には54基の原子炉があり、これはアメリカ・フランスに次いで世界第3位である。原発と原爆は原子核分裂のエネルギーをいかに使うかという点で同根である。唯一の被爆国でありながら原発を正しく恐れることをなおざりにしている。政府はカーボンニュートラルを打ち出しているが、水素エネルギーその他代替エネルギーを発展させることで原発ゼロを目指すべきである。これも正しい科学の力によって実現が可能になる。科学立国日本の目指すべき方向である。

◇毎日新聞に月2回連載している「よみがえる田中正造」が佳境に入り好評を得ている。「よみがえる」には特別の思いがある。3・11の原発事故を振り返るにつけ田中の文明観が甦る。原子力は文明の極致でもある。しかし真の文明はこれで良いのかと、未だ終息しない原発の惨状は訴える。田中は言った。「真の文明は山を荒さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さざるべし」と。原発を初め地球環境を破壊する現状からは現代文明の姿は真の文明とは言えない。田中は予言者であった。現在田中のような政治家はいない。ならば田中を甦らせねばならない。私の連載の意図の一つはここにある。田中の動きも第31回で一つの区切りとし、以降は田中と深く関わった4人の人物を取り上げる。それによって異なる視点から田中の実態に迫ることにする。4人とは黒澤酉蔵・荒畑寒村・幸徳秋水・古河市兵衛である。ここではそれらの一端に触れることにする。黒澤は自らを水戸っぽと称する一途な少年で田中の運動を命懸けで助けた。荒畑は清烈な社会主義者で20歳の時「谷中村滅亡史」を書いたが即発売禁止となった。幸徳は中江兆民に愛された人だが田中に頼まれて天皇への直訴状を書いた。その後大逆事件に連座して死刑になった。古河は鉱毒の原点たる足尾銅山の所有者。悪玉とされる人物を公平の観点及び田中の運動を深く知るために敢えて取り上げる。古河は渋澤栄一と深い絆で結ばれていた。(読者に感謝)