「イグアスの滝」  2005年8月20日(土) | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

「イグアスの滝」  2005年8月20日(土)

※土日祝日は「議長日記」及び「議員日記」を連載します。上毛新聞社から出版したもので、議員時代の私の動きを海外の視察も含めて振り返ったものです。

 

今日は数千キロを移動する日。朝食を4時半に済ませ5時に出発である。ラーメンが恋しくなって持参したカップ麺をだめもとで食堂に持ち込む。黒人のウエイターが何も言わず熱湯を注いでくれた。故郷の食事が食べたい。ベレンの市街はまだ闇に包まれていた。空港には岡島県人会長等が見送ってくれた。首都ブラジリアの空港で乗り換えて、再び機は南下を続けクリティバを経てイグアスに着く、イグアスに一泊して、明日はパラグアイの県人会を訪問する予定。イグアスといえば世界三大瀑布の一つイグアス滝を誰もが思う程滝は有名である。宿舎のホテルはこの滝を臨む位置にある。ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの国境に位置するこの滝は世界遺産にも登録されている地球の貴重な財産。ブラジル側の滝を囲む一帯は国立公園でその入り口ではピストルを持った公務員が入園をチェックしている。一般の自動車は入れない仕組みである。滝に至る道路はきれいに草が刈られ、白い幹の木が多い森のたたずまいは熱帯雨林とは思えずどこか日本の軽井沢に似ている感じを受ける。ほどなく景色は一変し轟く音と共に滝が姿を現した。まわりからわっと声が上がる。雲の中から流れ出るように水は緑の大地に落ちている。この光景を見下ろす左の丘に、赤い瓦屋根で2階建てのホテルが立つ。遥か彼方の対岸の森の上に見える白い建物はアルゼンチンのシェラトンホテルである。私たちは長旅のつかれも忘れて滝の谷へおりてゆく。一番すさまじい光景は「悪魔のノド」と呼ばれる最深の部分である。圧倒的な水量と天地を震わす轟音は人の力をはるかに超えた自然の威力と神秘を感じさせる。軽薄な人知で自然を壊すなと警告している姿にも見える。滝の水は白い。しかし、雨が降って増水すると茶色の水に一変するという。今は乾季なのだ。滝の数は大小合わせると270個、平均の高さは72メートルである。この滝をつくる川はイグワス川であるが、原住民の言葉で、「イグ」は水を、「ワス」は大きいことを表すという。私たちがイグアスと呼ぶのは分析するとこの「イグ」と「ワス」からなるのだろう。この川は、飛行機が着陸したクリティバから流れ下り、イグアスの下流でパラナ川と合流し、そこはパラグアイだと説明を受けた。夜はホテルの中庭で多くの人たちと共にバンドを聴きながら食事をとった。隣の丸テーブルは日本人らしい。声をかけると東京から来た老夫妻とその娘さんと分かる。老紳士は牧師さんで娘さんは東京女子大の事務職員だと紹介された。異郷で日本人と会話できることは嬉しいものだ。バンドの音楽が途切れると滝の音が響いてくる。私たちは、「アマゾン群馬の森」で環境破壊を救おうと訴えたが、イグアスの滝でもそのことを痛切に感じる。地球環境の破壊はじりじりと進み、ある時一気に進行し、どうしようもない状態が顕在化すると学者は警告している。悪魔のノドを涸らしてはならない。神が怒る前に人間は目覚めなければならない。人々の輪からはずれて外に出ると密林に囲まれた滝の上に満月が出ている。うっすらとたたずむ黒い森の陰、とどろく滝の音。そこにおちる月のしずく、のどかな光景が静かに広がっている。