人生意気に感ず「医療崩壊が近づく中でナイチンゲールを思う。医療従事者を風評や偏見から救え」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「医療崩壊が近づく中でナイチンゲールを思う。医療従事者を風評や偏見から救え」

◇都内のある大病院の看護師の懸命な姿が報じられた。コロナ戦争に於ける最前線で戦うこの女性の姿に私はナイチンゲールを重ねた。クリミア戦争に於いて敵味方にかかわりなく懸命な看護活動を行い世界的な反響を起こした。ナイチンゲールらが提唱して赤十字運動が実現した。彼女が訴えたこと、実践したことは医の本質を示した。医は仁と言われるが、そのことを知行合一で訴えた。40年ほど前、私の妻はガンで亡くなったが赤十字病院の看護婦たちに大変世話になったことが忘れられない。妻は「大変お世話になりました」と言って息を引き取った。コロナ以前のことであるが、医療の世界にも頽廃した世相が忍び寄り「医は仁」はどこへ行ったと懸念されていた。

 前記の看護師の姿はナイチンゲールの精神が生きていることを物語る。現在、コロナ禍で、医療の危機が叫ばれている。現在の医療従事者はクリミア戦争下のナイチンゲールより深刻な状況にいる。なぜならナイチンゲールには弾は飛んで来なかったろうが、現在の医療従事者はコロナという弾丸が降り注ぐ中で作業しているからだ。医療従事者に対する弾丸はコロナウイルスだけでない。もっと酷い弾は心ない誹謗中傷である。こちらの弾丸に耐えられずに心が折れる医療従事者を救わねばならない。

◇私は子どもの世界のいじめ、ハンセン病における偏見と差別の問題に取り組んできた。そこで感じたのはこれらの問題は人間の心の本性に原因があるに違いないということだ。同じような問題がコロナ禍の下で発生した。現代社会は物質万能に陥り心の貧しさが指摘されている。その貧しさは思いやりや助け合うことの欠如となって現れている。

◇医療の危機、具体的には医療のひっ迫は救える命が救えない状態を引き起こしている。超高齢社会ではコロナを抜きにしても風前の灯火のような人々が非常に多い。これらの命は生産に携われない、税金の無駄使いだから救わなくてもよいという思想が存在する。かつてのナチスの思想に通じるものだ。コロナは極めて重要な問題を人類に投げかけている。抽象的には人権であり、具体的には人間の尊重である。ワクチンが手の届く所にきた。それを先ず医療従事者に、次に高齢者など社会的弱者に提供すべきである。それはコロナ後の世界の社会秩序に繋がるものである。(読者に感謝)