人生意気に感ず「アメリカの異常事態。人種差別に対する抗議の波。それに逆行するトランプ」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「アメリカの異常事態。人種差別に対する抗議の波。それに逆行するトランプ」

◇アメリカで大変なことが起きている。コロナの死者が10万人を超え、世界最多の状況はアメリカの緊急異常事態を示すものだがその上に人種差別に対する暴動が全米に広がっている。この暴動はアメリカの「根本的問題」と結びついているために極めて深刻なのだ。この対策にトランプの強硬策が「火に油」の結果を招いている。

 根本的問題とはアメリカの建国の精神である「自由と平等」である。この点はアメリカだけではない普遍的問題であるだけに世界に波及しつつある。

◇白人警官による黒人ジョージ・フロイド氏殺害に対する抗議の渦は凄まじい。ホワイトハウス前での平和的デモの強制排除で国民の怒りは高まっている。アメリカ社会の歴史は人種差別との戦いで彩られている。これまでも差別による黒人暴動は繰り返されてきた。今回はそれと事情が異なると思われる。欧州に波及していることはそれを物語る。

 トランプの個人的とも見られる姿勢が火に油を注ぐ。それはホワイトハウス近くの広場に隣接する教会での彼の行為である。トランプは教会の前で聖書を掲げ記念撮影し保守派支持層にアピールした。この教区の司教は次のように強く批判した。「彼は祈りも、フロイド氏の死の悼みもしなかった」、「キリストの教えに背くメッセージの手段として聖書と教会を利用した」

 平和的デモの強制排除は、トランプがこの記念撮影で教会に近づく道を確保するたに起きた。与党共和党の上院議員も「抗議行動は憲法上の権利であり記念撮影のために蹴散らすのは反対だ」と述べた。私はトランプの理性を欠いた軽薄な記念撮影は聖書への冒涜であり、神の前の人間の平等を訴えた建国の精神を汚すものだと思う。

◇デンプシー元統合参謀本部議長は「米国は戦場ではない。同胞市民は敵ではない」と表明した。この言葉はアメリカ社会を分断させることを恐れている。コロナ対策で最も求められることは国民の協力、助け合いである。リンカーンが最も求めたのは南北戦争によるアメリカの分断の回避であった。今トランプの出現によってアメリカ社会の分断が進む。コロナに意思があれば喜んでいるだろう。民主党のバイデンは「トランプは、この国を古くからの恨みと新しい恐怖で分断された戦場にしようとしている」と批判した。私は、アメリカの再生を信じる。そのきっかけは11月の大統領選をおいてない。健全なアメリカの出現は日本の民主主義の発展と結びつく。コロナとの戦いは長く続くだろう。その克服は世界が一つになって力を合わせることにかかる。そしてそれはアメリカが真の指導力を発揮することによって実現するだろう。(読者に感謝)