人生意気に感ず「虐待の連鎖。結愛ちゃん、璃愛来ちゃんの死」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「虐待の連鎖。結愛ちゃん、璃愛来ちゃんの死」

◇跡を絶たない虐待事件。それは社会が音を立てて崩れる光景を連想させる。結愛ちゃん事件の公判から驚くべき実態が明らかになりつつある。「もうおねがい ゆるして」。こんな言葉を残した女児の心はどんなに追い詰められていたのか。3日、東京地裁で母親の初公判が行われていた。母親は結愛ちゃんを連れて雄大被告と結婚。その後弟が生まれ、それから雄大被告の結愛ちゃんに対する暴行虐待がひどくなったらしい。叩く、ベランダに立たせる、水のシャワーを浴びせるなど。母親の優里被告は「夫の報復が怖くて通報できなかった」と述べた。検察は保護責任者遺棄致死を追及し、弁護人は心理的DVで何もできなかったと説明した。この事件の背景には無数の同種虐待事件があるに違いない。裁判員たちはどう裁くのか。雄大被告の公判は10月1日から始まる。

◇4歳の女児璃愛来(りあら)ちゃんが母親の交際相手に殴られ、翌日水死の疑いで死亡した。先月31日この男は逮捕された。テレビはこの建設作業員の全身を覆う入れ墨の姿を映した。この女児は4度県警に保護された。この件では二つの児童相談所が関係しており、その連携のまずさが指摘されている。救える命をなぜ救えなかったのか。あどけない人形のような写真を見ると死ななかったならどんな人生が待っていたかと胸がつまる。

◇子どもを巡る環境が想像を超えて変化している。小さな命を守らねばならない。国は増える虐待状況に対応するために児童福祉司を4年間で約2千人増やすという。また、都は保護者の体罰を禁じる都道府県では初の児童虐待防止条例を制定した。

 6月には虐待防止を強化する改正児童福祉法も成立した。これは今年1月に起きた千葉県の10歳女児死亡事件が契機となっている。

◇子の教育、監護、虐待は境を接し微妙に重なることは否定できない。公判が始まった前記の結愛ちゃんの件でも、雄大被告は厳しい勉強を命じ目標を達成できないと叩いたり水のシャワーを浴びせたりした。教育のために厳しさは必要であるが、教育に名をかりた虐待はあってはならない。民法には必要な範囲の「懲戒権」が認められているが、昨今の社会状況の下で見直しが叫ばれるようになった。現在、法制審議会に諮問されている。

◇現在日本の社会で求められているのは社会の病理の犠牲ともいうべき亡くなった幼い命を無駄にしないことである。教育として活かさねばならない。(読者に感謝)