人生意気に感ず「滝行敢行。アラン君の黒い姿は不道明王であった」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「滝行敢行。アラン君の黒い姿は不道明王であった」

◇台風6号と梅雨前線の影響で群馬県内も局所的に豪雨が襲っていた。雨が気になるのは28日予定の「滝行」の実行が雨量にかかっているからである。岩櫃山の麓にある「不動の滝」に挑戦することになっていた。浅川修行僧の指導の下、黒人青年アラン君と私が参加する。地下足袋とふんどしを用意し、毎早朝7杯の水をかぶる練習を重ねて私はその時を待った。遠足を前にして天気予報に気をもむ小学生のようであった。幸いなことに、27日台風6号は低気圧に変化したが激しい雨は続いていた。

◇28日、夜明けと共に雨はあがった。私は勇躍出発した。途中、見慣れた吾妻川は濁った激流がいつもより量を増して流れていた。この流れに不動の滝の水が合流しているに違いないと思った。県道を進むと吾妻の山々は深い緑に覆われ、重ねた稜線から雨上がりの白い霧が湧き上がっている。車は原町に入った。右手に東吾妻町役場が城郭のような姿を現した。前方の陸橋の手前を左折し陸橋の下をくぐって北上する。道に沿った小川は普段はチョロチョロと静かなのに、この日は音をたてて流れている。私は怒った不道明王を連想しながら樹間の道を進んだ。

◇不動堂が目の上に見える位置に車を止めると森の中から轟々と滝の音が響いている。滝を見下ろす位置に立つといつもの数倍と思える水が落下し滝壺は激しく沸いているようだ。

 滝行は出来るのか私は不安になった。既に何人かのカメラマンが位置を求めて動いていた。やがて修行僧とアラン君たちが着いた。堂に手を合わせ「南無、不道明王」を七度唱えた。私たちは周辺のゴミを拾い、ウォーミングアップに勤めた。切り立った周囲の岩壁から滝を包むように壮厳な霊気が流れ出しているようだ。古来、滝が信仰の対象であったことが頷けた。「やるしかありません」と浅川さんが言った。

◇私たちは、裸になってふんどし姿になった。アラン君の黒い巨体が光っている。私は地下足袋、アラン君は草鞋である。滝に近づくと激しい飛沫が身を打つ。僧侶、私、アラン君の順に巨竜のわき腹に突き進む。どーんという衝撃を頭に感じ私は一瞬滝壺に押し込められた。さすがにアラン君の巨体は耐えていた。滝に立つ黒い巨体は不道明王に見えた。滝から出たアラン君は「日本が好き、日本の文化に触れて嬉しい」と語った。彼は日本アカデミーの留学生。母国カメルーンで日本文化を活かしたホテルをやるのが夢なのだ。(読者に感謝)