人生意気に感ず「裏千家の初釜で。危篤のN氏との思い出。平昌五輪は」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「裏千家の初釜で。危篤のN氏との思い出。平昌五輪は」

◇裏千家の初釜で濃い茶を飲んだ。恒例の催しで中庭の池には静かな水面が広がり、松の緑を写していた。大広間の変化は畳がすっかり新しくなったことである。都会の喧騒も一切伝わらない。静けさと風雅が心に広がる。血生臭い中を生きていた戦国の武将が茶の湯を求めた気持ちが分かる気がした。

 隣りの人が口をつけた碗がまわってくる。癩を患っていた武将大谷吉継が口をつけた碗を他の武将が呑む振りをして回したという逸話を思い出した。健康で茶を楽しめる幸せを感じた。

◇この日の夕方、古い友人のN氏が危篤だという知らせが入った。まさかと思いながら高崎の病院に走った。夫人の話では意識は戻らない。大きな声をかけても反応はないという。せめて手を握りたいと思ったが、特別室への入室はかなわなかった。何ということか。私の胸に、ある光景が浮かんだ。

 このN氏とは人生で最も多感な頃心を通わせた懐かしい思い出がある。東大の駒場時代同じクラスだった。激しい受験を乗り越えて来た人々のギスギスした冷たい空気が支配する中、2人は心を開いて人生の悩みを話し合うようになった。田舎から出た2人は共通した境遇を背負っていた。私は寮の、彼は下宿の生活だったが夜になると、時計台のある本館でよく勉強した。長い廊下には多くの部屋があった。離れた部屋でそれぞれ深夜まで勉強した。守衛のおじさんも暗黙に了解している様子だった。N氏は関西の人だったが卒業後は私をたよって前橋に来て弁護士となり、群馬の人と結婚した。人生は夢のようである。昔の話をして頑張れと励ましたかったが出来なかった。奇跡が起きることを願いつつ病院を出た。

◇平昌五輪は酷寒の中で熱い闘いを繰り広げている。熱さを感じさせるのは競技だけではない。北朝鮮と韓国との間で政治上の熱闘が進められている。五輪の開会式に合わせて訪韓した北朝鮮の幹部が韓国大統領と会談し金正恩委員長の親書を渡し訪朝を要請した。敵対する両国が握手しようというのだから、外見は平和の実現を目指す形である。日本もアメリカもこの平和の装いに反対は出来ない。北朝鮮の意図は緊迫した状況をかわそうとしているのは明らかだ。ここにも、目的のためには手段を問わないしたたかさが窺える。

◇今日は、高崎のある寺で「死の川を越えて」の講演をする。浄土真宗の僧が登場する場面も語ろうと思う。(読者に感謝)