人生意気に感ず「劉氏の死。人権を踏みつぶした天安門事件は。中国文明はどこへ。誰でもいい殺人の増加 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「劉氏の死。人権を踏みつぶした天安門事件は。中国文明はどこへ。誰でもいい殺人の増加

◇劉暁波氏の死は哀れだ。独裁という国家体制に殺されたともいえる。アメリカがトランプ以外の大統領であったなら、中国への批判はもっと激しかったに違いない。一党独裁を批判し民主化のために命を捧げた生涯だった。

 

 私は「炎の山河」の中で天安門事件について書いた。1989年(平成元年)6月4日未明、民主化を求めて集まった人々は学生を中心に200万人の規模に達した。その中に戦車と装甲車が突入したのだ。学生たちと共に抗議活動に加わっていた劉暁波氏は人民解放軍が天安門広場に突入する寸前、他の代表者と共に軍に対し、学生たちに逃げ道を残すように交渉したが、もはや効果はなかった。新聞は死者2,000人とも5,000人とも報じた。劉氏の長い闘争の始まりであった。

 

2008年には、中国の大幅な民主化を求める「08年憲章」を発表して「国家政権転覆扇動罪」に問われ長く投獄された。非暴力で基本的人権を求める劉氏の実践は高く評価されて、2010年獄中でノーベル平和賞を受賞した。劉氏は「この受章は天安門事件で犠牲になった人々の魂に贈られた」と語り涙を流したという。

 

 末期がんと診断される最近まで収監を続けた中国当局の対応は無慈悲である。妻に語った最期の言葉は「あなたはしっかり生きなさい。幸せに暮らして」だった。

 

◇人権という人類普遍の価値を信じて一生を捧げた姿は素晴らしい。共産党による一党独裁はいかに強固な組織であってもやがて消えるが、人権とそれに捧げた崇高な生き様は永遠のものである。長い歴史の流れで見れば劉氏の存在は偉大な中国文明の一頁に光を添えるものと信じる。

◇劉氏の遺体は、焼いて灰を海に捨てたと報じられた。葬儀の方法として散骨ということがよく行われている。地中海にとかガンジス川にとか。それが本人の遺志に基づくなら何ら問題がないが国家の強制の要素があるとすれば事は重大である。ことに劉氏の場合、これから歴史の審判が下る。そして、墓は中国民族が誇りとする偉大な文化遺産になる可能性がある。時の政権の狭い考えで墓を残さないとすれば歴史の冒瀆ではないか。

 

◇また「誰でもよかった」殺人が。神戸市で3人が殺され、2人が傷害を負った。容疑者は26歳の男。このような事件が後を絶たない。人間は自分の中の不満を抑制する理性の力を失いつつあるのか。(読者に感謝)