『今、みる、地獄の戦場』  第7回 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

『今、みる、地獄の戦場』  第7回

 日本大使館はポートモレスビーの海に面した近代的なビルの中にあった。厳重なガードをくぐって中に入る。特命全権大使田中達夫氏が丁寧に迎えてくれた。小寺知事と共に席につき遺族会の方々もそれぞれ位置をしめて座る。大使はニューギニアの歴史から始め、日本との関わりやこの国の現状などを話した。

その話は簡にして要を得て分かりやすい。その要点は次のようなことであった。

「ニューギニアは、ドイツ、イギリス、オーストラリアと統治者が変わってきた。ビスマルク湾という名はドイツ支配の名残であるし、ラバウルがあるニューブリテン島の名はイギリス支配の名残である。また、現在も英連邦に属し、この国の元首はイギリスのエリザベス女王である。日本が、こんな遠くまで兵を出したのは、アメリカとオーストラリアが手を結んで作戦するのを分断させるためであった。この国は1975年に独立したが初代の首相はソマレ氏で、それまでは石器時代のような生活が行われていた。人々の生活は現在も大変貧しく、国民一人あたりの年間GNPは約890ドル(因みに日本は32,350ドル)である」

大使のこのような話は、これから辿るニューギニアの良きガイドに思えた。

 

 

土日祝日は、中村紀雄著「今見る 地獄の戦場」を連載します。