人生意気に感ず「北方領土とは。鳩山一郎の覚悟。シベリアのサムライ。スターリンへの感謝状」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「北方領土とは。鳩山一郎の覚悟。シベリアのサムライ。スターリンへの感謝状」

◇昨日の「ふるさと塾」はテーマがタイムリーなこともあって盛会だった。「北方領土と強制抑留」が主題。会場の雰囲気は「ロシアは強(したた)か。返さないだろう」。日本の世論の縮図だと思った。

 

 北方領土とは、ハボマイ、シコタン、クナシリ、エトロフの4島のこと。千島列島の一部で、かつて原住民としてアイヌの人々が住んでいた。スクリーンに4島が浮かぶ。ハボマイは、アイヌ語が語源でハポ(母)、マ(泳ぐ)、イ(所)。母が泳ぐ所とは面白い。4島で最大の島はエトロフで、その面積は千葉県に近い。「日ソ共同宣言」で明記されたのは、ハボマイ、シコタンの2島返還である。この日ソ共同宣言から話はシベリア強制抑留に入っていく。

 

◇共同宣言には、鳩山一郎の政治生命をかけた決意が現われていた。昨日の新聞には「抑留者の命には限りがある」という鳩山の思いが記されている。瀬島龍三等長期抑留者は、長期の懲役に服していたが、この国交正常化により、直ちに恩赦、帰国となった。

 

 日ソ共同宣言調印は昭和31年10月19日、恩赦決定はこの年12月23日のことであった。鳩山首相は、訪ソを前に「たとえ鳩山内閣がつぶれようとも私はこの人道問題たる抑留者問題を解決したい」と決意を述べていた。北方領土、そして2島返還問題にはこのような背景がある。来月15日に会談する安倍、プーチンはこれらを踏まえて何を語るのか。

 

◇私は、「望郷の叫び」でシベリア強制抑留を描いた。その中で「日本人が最後に意地を見せたハバロフスク事件の真実(第5章)」と「スターリン大元師への感謝状(第6章)」を書いた。塾ではこれらにも触れた。ハバロフスク事件は奴隷のように意気地が無いと一部から軽蔑された日本人が、収容所側に見事な、そして組織的な抵抗を示した事件である。高学歴者の集団で死を決意して先頭に立った石田三郎を陰で支えたのは、かつての参謀瀬島龍三だった。やり切れない思いの「強制抑留」の中で、日本人の心に光を投げかけるのが「シベリアのサムライ」たちの姿であった。「感謝状」は、スターリンに最大限ごまをすった文書。恥の証文である。帰りたい一心で争って署名した。私は国立文書館の特別の許可を得てそのコピーを持ち帰った。金庫に保存してあるが、日本人として持ち帰ったのは初めてと言われている。(読者に感謝)