人生意気に感ず「カストロの熱く深い人生。その歴史的評価とは。コロンブスのジパング」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「カストロの熱く深い人生。その歴史的評価とは。コロンブスのジパング」

◇トランプ氏「野蛮な独裁者だ」。オバマ氏「並はずれた人物に対して、歴史が評価を下すだろう」。それぞれ、故カストロ氏へのコメントである。このコメントの中に、両氏の価値観、歴史観、教養の有無を推し量る要素が窺える。

 

 アメリカは偉大な国であるが矛盾に充ちている。自由、平等という崇高な建国の理念の下で、現実の歩みは苦難の連続だった。中南米の貧しい国々を支配下に置くような国の姿勢は建国の理念と相容れない。キューバに事実上の傀儡(かいらい)政権をつくって支配したことなどはその典型である。

 

貧富の差に苦しむ国民は怒った。その先頭に立ったのがカストロである。僅か150キロ足らずの足下で巨人に抵抗した勇気は、オバマが言う「並はずれた人物」と評するに値する。

 

 カストロは、「革命か死か」と叫び、言行一致を貫いた。演説は過激であるが人々の心を打った。アメリカのCIAは卑屈な手段で繰り返し暗殺を試みた。この現実こそ、「野蛮」ではないか。

 

◇カストロは革命家一般に通じる理想主義者だったが、その理想と現実の差に悩んだ節がある。「地獄の熱さなど実現することのない理想を持ち続けた苦痛に較べれば何でもない」と語ったことがあると言われる。

 

◇カストロが大変な親日家であることに関し、私は楽しい空想を巡らす。マルコポーロは、かつて黄金の国ジパング(日本)を求めて新世界の扉を開いた。サンサルバドルに到着し、そしてキューバに至った。キューバをジパングと思ったが黄金はなかった。現代の日本をカストロは平和で豊かで輝く国と見ていたに違いない。カストロは、日本をコロンブスが求めた黄金の国ジパングと重ねていたのではないか。

 

◇カストロは広島の原爆慰霊碑を訪ねた。宿敵アメリカが、ジパングに核を落として無数の罪のない民間人を殺した「蛮行」を許せなかったに違いない。オバマが大統領として初めて広島を訪ねたことはカストロを考える時、改めて評価の念を深める。トランプのようなリッチな人種には貧しい人々の心は分からないのだろう。貧富の大きな格差に悩むアメリカ人が格差の象徴に一票を投じたこともアメリカの矛盾を窺わせる。アメリカの今後はカストロへの歴史的評価の一要素となる。(読者に感謝)