人生意気に感ず「台湾に飛ぶ。学徒出陣の代表の弁。アジアの尊敬を得る至誠」
◇今月5日台湾高雄に飛び、翌日帰国という慌ただしい日程をこなした。7日に帰国予定だったが台風が接近しつつあり、7・8日と帰国出来ないと困る事情があったのだ。チュックボールの国際大会への出席だった。7日、福華大飯店で、40数か国が参加する国際会議が行われ、私は日本チュックボール連盟会長として参加した。私の席は日の丸の小旗が立てられている。このような国際会議は初めて。すべて英語でやりとりすることにあらためて驚いた。これが国際化時代の現実なのだと痛感した。島国日本で生きると井の中の蛙となる。世界に通用する英語力を小学校から目指さねばならないと感じた。会議の場で、私は日本のチュックボールの現状はと聞かれることを想定し頭の中に文章を作って備えた。
◇私はチュックボールの会長を前会長の江橋慎四郎先生から引き継いだ。先生は東大名誉教授であるが、昭和18年10月21日神宮外苑で行われた出陣学徒壮行会で、出陣学徒代表として挨拶した人である。東条首相らの激励を受け東京帝大の学生として答辞を述べたのだ。「生等もとより生還を期せず」と叫ぶ姿を文部省のフィルムで見たことがある。生等とは自分たち学生はという意味。私は当時のことをお聞きしようとしたが先生は語りたがらなかった。多くの学生が学問の道を捨てて戦火の中に消えた。複雑な思いがあるに違いないと思った。
◇6日未明、高雄市の朝を走った。暗い中に明るく輝くコンビニに出会うとホッとする。看板のファミリーマートは、「全家」の文字が並んで表示されている。コンビニは持論、ホテルでも空港でも対日感情は極めて良い。日清戦争の結果日本領となり昭和20年まで日本の一部だった。空港で驚いたことがある。長蛇の列は日本を目指す人々である。夏休みと重なったためか家族連れが多い。台湾でみるこの現象はアジア全体に当てはまると思った。皆、日本を尊敬し好きなのだ。アジアは欧米に支配された歴史を持つ。その欧米と本格的に戦った日本。破れたとはいえ廃墟から見事に立ち直った。反省の詫び証文が日本国憲法だ。70年を経て憲法は本物であることが実証された。技術を至誠で生かす国日本。日本の置かれた立場は、世界で最も重要なのかも知れないと私は最近思う。いい気にならないで謙虚さと堅実さが求められる。それが至誠なのだ。(読者に感謝)