人生意気に感ず「アメリカの矛盾。イスラム国の衝撃」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「アメリカの矛盾。イスラム国の衝撃」

◇テキサスを振り返る。帰国の日の前日、ホテルのロビーであるイスラム系の人と話す機会を得た。ヒゲ面で中年の男は、入国審査で酷い目に会ったと苦笑しながら語った。シンガポールのイスラム教徒で、「別室に連行され、裸にさせられた」と、身振りで衣服を脱ぐ様を示した。目的地、いつ、どこで誰と会うかなど厳しく問われたという。この人も大変だったのだと、私は、先日のヒューストン国際空港の光景を思い出していた。長い列の先の白い衣を被った女性が2人の女性係員に両側から腕をつかまれ一角に連れていかれ、一つのドアの中に消えた。平和な日常生活の中の異常な出来事。巨大な国を国際テロが揺すぶっている現実を感じた。

◇アメリカは自由と人権の国である。いく日かアメリカの社会で暮らして、この国は理想と矛盾がたぎっている国だと思った。テレビをつけると連日凶悪犯罪を報じている。ホテルでも、スーパーでも肌の黒い人々が、物を運んだり、掃除に励んだりと黙々と動いている。目の前の現実は階級社会であることを示す。一握りのアングロサクソン系が社会を支配し、黒い人々が底辺を支えている。建国からおよそ232年、この国の民主主義は進化しているのかと思った。

◇神の前の人間の平等を掲げてこの国はイギリスと戦い独立した。その時、膨大な奴隷が存在した。奴隷も人間である。独立宣言は約束手形の発行を意味した。まだ手形が落ちていないことを感じる。民主主義とはこういうものか。

 この国は建前は政教分離だが実際はキリスト教と政治が不可分となっている。大統領はゴッドを唱え聖書に手を置いて誓約する。非キリスト教徒から見れば差別を感じるだろう。「十字軍だ」と叫ぶ根本的な理由がそこにある。

◇アメリカにいて、「イスラム国」を身近に感じた。アメリカは7世紀頃の敵と戦っている。ムハンマドの預言に従って民主主義などは認めないのだから始末が悪い。チュニジアから始まった民衆蜂起によりアラブの国々で政権崩壊が起きた。統治されない空間に「イスラム国」の建国が宣言された。全世界のイスラム教徒はどう受け止めるのか。宗教戦争の感がある。対応を誤れば世界戦争になる。帰りの機中は13時間。文芸春秋の「イスラム国の衝撃」を読んだ。機の爆破を恐れながら。(読者に感謝)