随筆「甦る楫取素彦」第185回 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

随筆「甦る楫取素彦」第185回

 今日の原発反対とかのデモ行進を想起させる。今日、一般の若者は気力がなく自分のカラに閉じこもり、社会問題に正義心を燃え立たせることはほとんどない。それにしても、明治の時代にあって、このように普通の青年が立ち上がって廃娼に尽くしたことは驚くべきことだ。群馬の廃娼運動が単に一部のインテリ層を代表する議会内の争いではなかったことを物語る。

 青年会は時には一日に3,4回も演説会を開いた。このようにして、全県下はほとんど廃娼の大義に賛成する次第となった。知事は遂に県会と大衝突となり辞職の勧告となり、解散と迄なった。森川はこのように経過を語った。

 森川は当時連合した青年会として次の名を挙げた



  南甘楽青年会    芳賀青年会

  名和青年会     青年進成会

  宮郷青年会     勢多青年会

  室田青年会     鳥淵青年会

  赤陽青年会     淵川青年会

  桂萱青年会     岩鼻少年会

  生品青年会     新田協同会

  北甘楽青年会    上白井青年会

  大胡青年会     鳥淵学友会

  前橋同窓会     宮城青年会

  多胡青年会     上毛青年会



 森川は青年会の動きの中で面白いエピソードを紹介する。青年会前橋事務所を助けたあるおばさんのことだ。神明町(現在大手町3丁目)の鳥山という家が事務所になっており、この家のおばさんは青年会のおばさんといわれ有名な存在だった。おばさんは熱心な廃娼主義者で、演説会を開き、議員有志を訪問し、ビラ張りや下足番までやり、演壇で絶叫し、時には料理屋の奥から味方議員を奪い返したこともあった。その質素にして堅実な運動振りには敵も味方も感歎したという。


☆土・日・祝日は、中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。