随筆「甦る楫取素彦」第142回 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

随筆「甦る楫取素彦」第142回

湯浅治郎が答えた、自分の一つの意見だがとことわって。「とっさの間にこれを廃絶すれば、正業に復する道に窮するのは必然である。故に先ず、数ヶ月の猶予をもってその後、断然廃止する見込みである。ほのかに聞くところによれば、この建議を県会の所見として上申すれば、県令より特にその方法につき諮問せられるということである。だから、尚更至急上申することを望む」

議長はここで、建議を不可とする野村藤太に賛成するものを起立させたが少数であった。そこで県令に上申することとなった。湯浅の言から、県令との間に話しが進んでいた様子が窺える。

このような経過を経て、翌、明治15年4月14日、県令楫取は公娼廃止を布達した。それは5年の猶予を与えるもので明治21年6月限りで廃止する、とするものであった。これは次に赴任した佐藤知事の時変更され、その後も後述のように紆余曲折を経る。

「伊香保の決断」

ここで特筆すべきことは、この期限を待たずに実行した県下の自治体のことである。それは伊香保村であった。

 明治15年2月7日、木暮武太夫①は内務省衛生局長に廃娼の建議を出した。温泉を守ろうとする差し迫った事情に基づくだけに建議文には真情が躍る。以下に大意を示す。

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