人生意気に感ず「上海の一日。赤信号を無視して。戦えば共に傷つく」
◇上海は初夏のように暑い。月曜日だが、街は比較的静か。こちらは清明節で休みなのだ。空港で山田上海事務所所長の出迎えを受ける。この日の最大の出来事は上海市長楊雄氏との懇談だった。上海市長には国会議員でも会えないと言われる。福田元総理とは旧知の間柄で、そのために私たちは長時間打ち解けて話が出来た。
会場の衡山賓館は10分くらいの距離だが国賓なみの扱いを受けた。パトカーが前後に付き目抜き通りの信号が赤なのに進む。驚く群衆を制止する警官。これでは、凄い待遇だと誰でも思う。私は珍客をもてなす演出なのだと感じた。
福田元総理は、清明節で休日であることを知らなかったと詫びわざわざ会ってくれたことに感謝した。福田さんは群馬が4人の総理を出したこと、群馬の農業と温泉などを巧みに説明し大澤知事に話を振った。大澤さんは群馬の農産物は安全である事を強調し草津が日本一の温泉であると説明。私は「草津よいとこ一度はおいでと歌われています」と口を挟むと市長は歌にまでなっているのですかと驚いた様子。
知事の話が終ると楊市長は群馬との交流を深めたい、草津に行きたい、市民にも勧めると述べた。
私は立ち上がって次のように話した。「群馬県日中友好協会の会長です。先月上海市を訪ね、こちらの友好協会と交流の覚え書きを交わしました。政府間が険悪な時こそ、民間と地方同志の交流が重要です。身近なことから交流の実績を積み重ねたいので宜しくお願いします」と。市長は大きくうなずいていた。
最後の記念写真の時、私は、楫取素彦と吉田松陰を描いた3ヶ国読本を市長に渡した。「楫取素彦読本」を要約し、日本語、中国語、英語で解説したものだ。ストーリーは私が書いた。上海との文化交流の一助になればと思う。
◇上海事務所開所一周年記念式典は、7日午後6時から、花園飯店のジャスミンの間で行われた。来賓として福田元総理、外事弁公室副主任、日本国総領事が挨拶した。外事弁公室の祝偉敏氏は、「中国は世界で最も力のある発展途上国、日本は最も力のある先進国。力を合わせれば偉大な成果を生み、戦えば共に傷つく」と述べた。
◇式典後、福田さんを囲む懇談会は一日を振り返りつつ話がはずんだ。福田さんは今日(8日)海南島へ向かう。
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