人生意気に感ず「死刑囚地獄から生還。冤罪の恐怖。イノセンス・プロジェクト」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「死刑囚地獄から生還。冤罪の恐怖。イノセンス・プロジェクト」

◇正に、地獄の淵から拾い上げられたのだ。袴田死刑囚の再審が決定し48年ぶりに釈放された。元プロボクサー、一家4人を殺したとして死刑確定。一審の裁判官の一人は無罪を主張していた。

 袴田さんは獄中から手紙を出し続けた。「私の心身は反則によってKOの底に身を横たえてしまうしかないのか。これが私の生である。私の無念とするところである。私の恥かしい部分である」

「反則によって」とは拷問や誤った裁判のことだ。また、「神様。僕は犯人ではありません。僕は毎日叫んでいます。ここ静岡の風に乗って世間の人々の耳に届くことを、ただひたすら祈って僕は叫ぶ」、「確定囚は口をそろえて言う、死刑はとても恐いと。だが、実は死刑そのものが恐いのではなく、恐いと恐怖する心がたまらなく恐ろしいのだ」手紙は姉秀子さんの家に保管されている。

 死刑囚が再審決定と同時に釈放されるのは初めて。静岡地裁は「捜査機関によって捏造された疑いのある証拠で有罪とされ、極めて長期間、死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきた。これ以上、拘置を続けることは耐えがたいほど正義に反する。よって拘置の執行も停止する」と指摘。これが即釈放の理由である。

◇再審決定の道を開いたのは最新技術のDNA型鑑定である。足利事件の菅家さん、東電OL殺人事件のゴビンダさんもDNA鑑定の結果によって再審が決定し無罪となった。天文学的な確率で識別するDNA鑑定はいわば神の目である。菅家さんは古い技術のDNA鑑定で有罪、最新の技術で無罪となった。だとすれば、仮に裁判をやり直せば無罪となるケースが過去にはあった筈だ。

 アメリカには「イノセンス・プロジェクト」といってDNA再鑑定で有罪とされた人を救済する取り組みがある。死刑判決後に無罪が明らかになったケースが17件あるというから怖い。日本でも、死刑執行後の再審を求めているケースがある。死刑確定の2年後に執行された久間元死刑囚のいわゆる飯塚事件である。

◇袴田さんの場合、裁判所は警察が証拠を捏造したと指摘した。事実とすれば恐ろしいことで、警察の威信を地に落とす行為だ。真犯人と思い込んで捏造を行ったのだろう。冤罪の陰に笑う真犯人がいる。警察は健全な社会を支える柱である。(読者に感謝)

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