随筆「甦る楫取素彦」第37回 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

随筆「甦る楫取素彦」第37回

〔注〕鳥居耀蔵

  反動の化身鳥居耀蔵は、水野が失脚すると、町奉行を免ぜられ、四国の丸亀藩に送られ無期禁錮に処せられた。弘化元年、48歳の時である。以後、24年間、6帖一問の座敷牢に入れられた。格子の外に投げた枇杷の実が生えて大樹になったといわれる。明治元年ようやく開放され77歳で世を去った。

〔注〕為永春水。

  江戸の人情本、風俗小説家。代表作の「春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)」は、情痴的な江戸の男女の恋を描いた。若い婦女子に熱狂的に読まれたが、天保の改革で、風俗に害があるとして罰せられた。憂悶のうちに54歳で死亡した。

〔注〕人返しの法。農村復興のための政策。農民の離村、出稼ぎを禁じ、江戸に住むものも、永年住んで一家をかまえている者以外は強制的に農村に返させた。

〔注〕上知令。江戸、大阪周辺の大名、旗本の領地をとりあげ幕府の直轄領とした。江戸や大阪は生産性が高いので幕府の収入が増えると考えた。しかし、大名、旗本の猛反対をうけ忠邦失脚の原因となった。

〔注〕棄絹令。6年以前のものは帳消しに、5年以内のものは利子を下げて年賦で返させた。札差の倒産など問題にしなかった。札差は金融を拒否したので旗本などはかえって困窮した。

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