『炎の山河』第五章 地獄の満州 第82回 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

『炎の山河』第五章 地獄の満州 第82回

 松井かずは、保証人のこと、住宅や職場の見通しなどの問題点を解決し、役所に提出する書類の準備も、時間はかかったが、あと一歩というところまで進んでいた。そのような時、天安門事件が起きたのである。

 急がなければ、内乱が広がって、中国の家族は日本に来られなくなるかも知れない、そう思うと、もっと早く手続きを進めるべきであったと悔やまれる。

 松井かずは、必死で書類を整え、平成元年の秋、役所に提出した。天安門事件は、どうなっているのだろうか。内乱は中国東北部まで広がっているかもしれない。もしそうなら、家族を日本へ呼び寄せることは不可能だろう。長年の夢は水の泡になってしまうのか。松井かずは、毎日、気をもんでいた。

 ☆「炎の山河」は間もなく終わり、その後は、「甦る楫取素彦」を土・日・祝日に連載します。ご期待下さい。