人生意気に感ず「アメリカ獄中の郷隼人。岡山県立図書館。福島原発」
◇「郷隼人さん、久々に掲載されましたよ」と匿名のメールが寄せられた(30日)。私がこの獄中歌人のファンで何度かブログで取り上げたことを知るファン仲間に違いない。前日の新聞の歌壇にアメリカからの歌は確かにあった。
○わが詠みし短歌(うた)を待つ人居てくれる
何て幸運(ラッキー)な奴なのだ俺
昨年4月以来のもの。獄死かと気にしていた。
この人の事は短歌を通して知るのみである。書きとめたいくつかを味わいたい。
○くろぐろとしたもののみが横たわる
無期懲役の吾が前途には
○年毎(ごと)にその希望(のぞみ)すら否定され
二度と逢えぬか桜島山
○老い母が独力で書きし封筒の
歪(ゆが)んだ英字に感極まりぬ
○獄に読む老母(はは)の文(ふみ)こそ哀(かな)しけれ
父の介護に疲れ果てしと
○「生きとればいつか逢える」とわが出所
信ずる母が不憫(ふびん)でならぬ
○「卯の花……」の歌を突然口遊(くちずさ)む
塀の中にもはや夏は来ぬ
○人間の命(いのち)奪いし吾が手なり
その手が今は短歌(うた)綴りいる
○「仮釈放を拒絶さる」とは老い母へ
手紙に書けずふた月経ちぬ
◇私はシベリヤ強制抑留の過酷さを「望郷の叫び」で書いた。狂うような淋しさを酷寒の収容所で味わった日本人。それにもまさる望郷の思いが絶望の獄窓から伝わる。
郷隼人の歌から命と自由の大切さが伝わる。アメリカの無期懲役は日本と比べ仮釈放が非常に困難だという。十分に更生したと思われる郷隼人になんとか仮釈放を与えられないものか。嘆願書が有効なら署名したい思いだ。
◇11月は、図書広報委員会(1日、2日)と放射能対策特別委員会(7日~9日)の県外調査がある。明日からの図書広報委は、岡山県立図書館、岡山議会、滋賀県議会を訪ねる。
岡山県立図書館は来館者、貸出数共に長年全国都道府県立図書館中トップ。私は昔から県立図書館をよく利用する。県民の文化の拠点を少しでも魅力あるものにしたいのでよく見て来たいと思う。
◇放射能特別委は、福島第二原子力発電所と青森県六ケ所村の日本原燃・低レベル放射性廃棄物埋設センターを調査する。
日本が抱える最大の問題の一つは原発である。勉強の新しいスタートラインに立つ思いで調べてくるつもりだ。(読者に感謝)
☆土・日・祝日は、「楫取素彦読本」を連載しています。