『楫取素彦読本』第43回 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

『楫取素彦読本』第43回

『楫取素彦読本』第43回

 奴隷解放ともいうべきこの運動の中心になった人物が県令楫取素彦と第二代県会議長湯浅治郎でした。湯浅は新島襄の影響でキリスト教徒となった人です。キリスト教の人間の平等の思想が彼を動かす力となりました。

 湯浅が県会で廃娼の建議をまとめ、楫取県令がそれを実行に移すために尽力しました。その後、曲折はありましたが、群馬県は日本で最初の廃娼県となり、「金字塔を打ち建てた」と全国から賞賛を受けることになりました。

【解説】

今日、日本の危機が叫ばれています。力を合わせることが道を切り開くカギです。人々が真に力を合わせるためには、平等の精神、とくに男女の平等が必要です。「女性の解放」には、社会の健全な力を生み出す、このような今日的意味も含まれていました。

明治十五年(一八八二)

楫取素彦は、六年の猶予をおいて、明治二十一年六月限りで廃娼を実施すると布告しました。

その後、予定通りには進まず、明治二十六年に至り、完全実施となり、廃娼県は完成となりました。

「金字塔」の意味は、現代に於いて益々重要です。

 人間尊重の日本国憲法の精神を体現するものだからです。

 ところが現実は、この「金字塔」も、歴史の彼方に葬られている感があります。楫取を顕彰することは、この「金字塔」に再び光を当てる意味があるのです。

※土日祝日は中村紀雄著「楫取素彦読本」を連載しています。