『楫取素彦読本』第41回
十二、廃娼運動
楫取素彦は、吉田松陰と共に、人間の平等ということに強い信念を持っていました。
吉田松陰が士農工商という形式的身分で人間を差別することに反対だったことは前に述べました。楫取と松陰とは、心の友であり、共通の価値観を有し、互いに尊敬し合う仲でした。
ここで、人間の平等という点から、楫取素彦の業績を述べたいと思います。それは、県会と力を合わせて廃娼県群馬への道を切り開いたことです。「廃娼運動」といいます。
古来、群馬は、交通の要衝で、重要な街道がいくつも通過しておりました。街道には、宿場が存在し、そこには遊廓と呼ばれる不道徳なことが行われる場所がありました。
宿場や遊廓には、娼婦と呼ばれた虐げられた不幸な女性たちが多く働いていました。「廃娼運動」とは、この女性たちを解放する運動のことです。
【解説】
○新島襄は、国禁を犯してアメリカに渡り、幸運にも恵まれ、素晴しい体験をします。キリスト教徒となって、帰国したのは、明治七年(一八七四)でした。早速、故郷安中に帰り、人々にアメリカの話をし、キリスト教を説きました。ここで湯浅治郎との出会いが実現しました。同志社大学の創設者です。
※土日祝日は中村紀雄著「楫取素彦読本」を連載しています