人生意気に感ず「オウムの終結近づく、空前の死刑。裁判員制の合憲判断」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「オウムの終結近づく、空前の死刑。裁判員制の合憲判断」

◇かつて日本の治安の良さは先進国で奇跡的といわれた。その安全神話を崩したのが地下鉄サリン事件だった。オウム真理教は他に松本サリン事件、坂本弁護士一家殺害事件など多くの事件を起こし、麻原彰晃以下11人の死刑が確定し、一、二審で死刑判決を受けている同宗教元幹部の上告審判決が、18日・21日に下され、16年半に及ぶ裁判が全て終結する。 

 オウム真理教が起こしたこれらの事件は、病める日本を象徴するかのようであった。事件関与者の多くは高学歴者だった。最高の学問を納めたというが、それは単に知識を頭に移しただけで、人生の役に立たない根なし草のようなものだと多くの人々は思った。その意味でこの事件は、教育の目的は何かを改めて問う契機となった。 

 又、この事件が現代の日本に突きつけたもう一つの大きな問題点は宗教とは何かだった。今日の日本の社会には宗教的基盤がないに等しい。学校でも宗教の意義を教えない。オウムに入った人たちは宗教につき無菌状態だったのではないか。今日の状況は日本が敗戦によって伝統を断ち切った事の一つの結果だと思う。間もなく、残された2つの最終の判決が下る。死刑は免れない。

 犯罪史上空前の死刑判決がそろった時点で、マスコミはこの事件を改めて大きく報じ、私達は死刑制度に向き合う事になる。19日の「ふるさと塾」では、オウムを頭の片隅に置きながら、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教につき語るつもりだ。

◇裁判員制は合憲だという最高裁の判決があった(16日)。この制度が平成21年に始まった時、法律に全く素人な市民が刑事裁判に参加することに国民の間に大きな不安があり、制度の意味が分からないという声が多かった。 

 本県初の裁判員裁判は21年12月8日に始まり前橋地裁前では266人が傍聴券を求めて列を作った。この中に制度は憲法違反だと抗議する人の姿があった。私もブログで民主主義が根づき教育が普及した社会でなければ、裁判員裁判は人権侵害になる恐れがあると書いた。 

 今回、最高裁は、裁判所による裁判を受ける権利を侵害するという主張に対して、裁判員と裁判官の協議で良識のある結論を期待できると判断した。しかし、制度の目的を達成するには相当の期間と努力の積み重ねが必要と述べた。私の指摘と共通な認識が見える。(読者に感謝)


☆土・日・祝日は、中村紀雄著「上州の山河と共に」を連載しています。