人生意気に感ず「歴史都市西安に入る。息を呑む軍団・兵馬俑」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「歴史都市西安に入る。息を呑む軍団・兵馬俑」


◇中国視察第3日目は成都を立ち空路西安に向かった。西安は、かつての唐の都長安である。日本は平安時代先進国の文化を取り入れる為に一大国家事業として遣唐使を派遣した。それは正に命がけの事業だった。日本海の荒波に呑まれて目的を果たせなかった遣唐使は多かった。内陸の都市西安に残る古都の遺跡に接し、私は、東海の果ての小国日本が苦難を冒(おか)してここまできたのかという思いを抱いた。

 視察先西安についてはこのような日本文化の原点に接したいという思いがあった。しかし、「長安」の遺跡は後回しにし、この日(31日)、世界遺産・秦の始皇帝陵と兵馬俑を訪ねた。兵馬俑の発見は20世紀最大の考古学的成果といわれた。赤土の兵馬俑坑の壮観さは息を呑むばかりであった。甲冑に身を包んだ等身大の兵士は7千数百に及ぶ。平均身長は1m83cm。1つとして同じ顔はない。選りすぐられた屈強な兵士達の姿である。戦国の七雄を打ち倒した秦軍の苛酷さが伝わる。そして、このような空前の事業を自分の死後に実行させた始皇帝の権力と秦国の組織力の想像を絶する凄まじさに圧倒された。

 兵士の表情は一つ一つが個性的で意志と誇りを表し品位がある。その隅々までが疎かにされていない。優れた芸術作品であると同時に当時の事物を知るこの上ない資料である。発見後37年も経つのに兵士が並ぶ広大な建物の一画では修復作業に取り組む考古学者の姿が見られた。

◇文化遺産とは何か、世界遺産の名に値する価値とは何か。兵馬俑坑の兵士たちは、私たちの胸にそれを雄弁に訴える。人類はこのように血を流しもがきながら歩みを続けてきたのだ。戦争と平和の問題は2200年を経た今日でも変わっていない事が多い。人間の生と死もそうだ。群馬の世界遺産登録も生易しい問題ではないことを考えさせられた。

◇西安のスケジュールの一つに西安外事学院での学生との交流がある。31日の夕食会にこの大学で日本語を教える友人の角田一之氏が参加し西安の話が盛り上がった。訪中団の県議は5人。副団長の関根圀男県議は視察を成功させるために心を砕いている。お陰でハードだが充実した一日一日が過ぎている。夕食会でサプライズがあった。団員が私の誕生日を祝ってくれた。10月30日私は中国で71歳を迎えた。上海、成都で早朝の市街を走った。これから西安も走る。2日に帰国し、11月3日、県民マラソンで10キロを走る。その時、私の胸にあの軍団の姿が甦るだろう。(読者に感謝)

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「上州の山河と共に」を連載しています。