人生意気に感ず「中国視察。四川大地震の惨状を三国志の国で振り返る」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「中国視察。四川大地震の惨状を三国志の国で振り返る」

◇中国視察の2日目は四川省成都。三国志の蜀の国があった所である。東の上海から西の成都へ。この間1800キロ。四川省は山で囲まれた盆地である。そのためいつも曇っている。太陽は珍しく、昔から蜀犬日にほえると言われた。蜀の犬はたまに太陽をみると驚いて太陽に向かってほえるというのだ。豊かな穀倉地帯で、昔、天府の国と言われた。美人が多い事で有名だがそれ以上に有名なのは天才軍師諸葛孔明である。上海と異なり成都には街並にもまだ中国的雰囲気が残っていた。

 少数民族が多いのどかな町や村を突如巨大地震が襲ったのは08年5月12日の事であった。四川省人民政府外事弁公室の黄功元氏は資料を準備して私たちの到来を待っていた。彼は流暢な日本語で私たちを迎えた。私は、中国語を使う必要は無さそうですがと前置きしながら、中国語で挨拶した。

 まず驚いたことは、黄氏は東日本大地震の時日本に居て大きな揺れを体験した。そして日本人の秩序正しさに感動したと語った事だ。

 黄氏は、四川大地震につき死者行方不明は9万人を超え経済的被害は7717億元で作物の被災面積は214.5万歩、というように省内各地各分野の被災状況を詳しく説明した。また中国政府は初めて外国からの救援チームを受け入れ、日本の救援チームは一番早く駆けつけ重要な救援活動を担ったと語った。

 私は話を聞きながら当時の状況を振り返った。かつての中国は自由主義諸国と対立していたから大災害に際し救援を受け入れなかった。政治の都合で国民を犠牲にする事は許されない。四川大地震の時世界のマスコミは一斉に惨状を報じた。北京五輪直前という事もあって世界の目は釘付けになった。中国政府は外国の救済を受け入れざるを得なかった。今や大震災に対して世界は一つである。今回の日本の場合でもこの事は明らかだった。

 外事弁公室の研究員は被災時の映像を見せた。そびえたつ山が崩れ巨岩に押し潰される人や家、広がる瓦礫の山、天を仰いで泣き叫ぶ老婆、あわただしく動き回る軍、警察、民間人等、そこでは地獄のような世界が再現されていた。

 中国は3年間でほぼ90%の復興を果たしたという。国家権力が強い国の強みである。しかし、早い復興事業の影で泣く人々はいないのか。日本は救済や復興で政治が争っている。まさかの時に問われるのが民主主義の真価だ。

 今回の視察は大災害に立ち向かう政治の在り方と役割を改めて考えさせる機会となった。日本の復興の行方を世界が注目している事も改めて痛感した。(読者に感謝)

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「上州の山河と共に」を連載しています。