人生意気に感ず「マチュピチュの少年は今。東大同窓会設立」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「マチュピチュの少年は今。東大同窓会設立」

◇最近、マチュピチュ遺跡発見100年記念式典のことが報じられた。新聞の一コマの写真を見て忘れられない光景が甦る。特に、日本語を叫びながら私たちの後を追ったあのアンデスの少年の姿が。

 平成8年5月、群馬県議会の南米行政視察団はブラジル、アルゼンチンを経てペルーに向かった。私は副団長であったが、スペイン人に征服されたインカ帝国の歴史には深い関心を寄せていた。

 かつてインカ帝国の首都があった歴史都市クスコはアンデス山脈に抱かれるように標高3000mの高地に広がっていた。マチュピチュの遺跡はクスコの北約100キロの所にあった。

 空中都市の名にふさわしく、石を刻んで築かれた遺跡は切り立つ遙かに高い絶壁の上にあった。そこに立って、私は息を呑んで立ち尽くした。石を切って精巧に組み立てた石畳や神殿跡は、私たちに何かを語りかけている。まわりの高い山々は、遺跡を見下ろす神々の姿に似て、眼下には、ウルバンバ川の流れが細く白い糸のように見えた。石積みの段の上でリャマが静に草を食べていた。私はなぜか涙が出てとまらなかった。

 不思議なドラマは帰りのバスの外で起きた。麓までの道は遺跡の発見者の名をとってハイラム・ビンガム道と呼ばれている。バスは螺旋(らせん)状に蛇行した急峻な斜面の道を走っていた。その時、バスの中にどよめきが起きた。一人の少年が繁みから現れ、「サヨーナラ」と叫びながら追ってくるのだ。現地の子どもが日本語で呼びかけている。カーブを曲がると少年の姿は消えた。なんだろうと驚く。すると次のカーブで再び少年は現れ「サ・ヨ・オ・ナ・ラー」と一語一語句切るように叫んでいる。少年は山の木々の間を一直線に走り下っているのだ。何度か対面を繰り返し谷間にこだまする少年の声はやがて消えた。あれから15年が経った。あの少年はどうしているだろう。私の思いは遥かなアンデスに飛んだ。

◇群馬県東大同窓会・群馬銀杏会の設立総会があった(9日)。ないのは群馬県だけだった。独立法人化された大学を同窓会が支えるという目的もある。発起人代表の石原信雄さんが議長席について会則等が決められた。濱田純一総長は挨拶の中で総長就任のスローガン「森を動かす」について語った。一本一本の木ではなく「森」全体を動かす決意で大学を改革し世界のトップを 走りたいというもの。(読者に感謝)

☆土・日・祝日は、中村紀雄著「上州の山河と共に」を連載しています。