人生意気に感ず「長寿遺伝子の発見。生命の起源は教える」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「長寿遺伝子の発見。生命の起源は教える」

◇老化防止の遺伝子を発見したというNHKの特集を見た。昔から長寿の秘訣はと問われ「腹八分目」と答える高齢者の姿をよく見てきた。どうやら、これは最先端の科学的研究の成果と一致するらしい。

 2つの群に分けた80匹ものアカゲザルを20年以上も観察した結果が紹介される。一方の群は、毛が抜けた尻の皮はたるみいかにも老猿であるが、他の群のサルは毛の量も多くそのつやもよく若々しい。同年齢のサルとは見えない。その秘訣はエサの量にあるという。カロリー制限が若さの秘訣であることを実験結果は物語る。動物実験の例はマウスでも紹介される。

 そして、遂に人間の「実験例」が登場する。アメリカのカロリー制限協会の人々の事だ。30%のカロリー制限を続ける会員たちは、血管の壁がうすく、普通より30歳若いというのだ。30歳の根拠は、普通70歳の人の血管の壁の厚さは0.9ミリであるが、カロリー制限を続けている人は、70歳にして40歳の人の血管0.6ミリを示したことによる。

◇マサチューセッツ工科大学のレオナルドガレンテ博士は遂に人間の細胞の中の老化防止遺伝子を発見する。長寿遺伝子である。サーチュイン遺伝子と名付けられた。普段はこの遺伝子は働かないで眠っている。それがカロリー制限によって目を醒ますというのだ。

◇今日の地球上の生命の祖先は、30億年も前に1つの細胞としてスタートした。この生命体は進化の過程で突然変異により飢餓を生き抜く力を獲得した。この遺伝子は今日の我々の細胞にも受け継がれている。もともと飢餓対策の遺伝子だから空腹になると、スイッチオンとなる。これが、カロリー制限によって長寿遺伝子が働く理由だといわれる。3週間から7週間のカロリー制限により、細胞レベルで変化が現れる。今、世界の製薬会社は、カロリー制限以外の方法で長寿遺伝子を活性化させる方法、つまり薬の開発に懸命になっているといわれる。

◇昔、東大の教養課程にいたころ、オパーリンの「生命の起源」を読書会で読んだ。オパーリンは、実験室で単細胞の生命が生まれる過程を実証しようとした。やっと生まれた私たちの御先祖様は、様々な危機を乗り越えて進化の道を歩んだ。その危機の1つに飢餓があった。長生きしたければ、御先祖様の飢えの苦しみの万分の1でも見習えと、現代の研究成果は教えている。(読者に感謝)


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