第五章 地獄の満州 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

第五章 地獄の満州


天安門事件をみると、日本にはあふれる程の自由があると思う。政府を批判して罰せられるということはない。表現の自由・政治活動の自由が憲法によって強く保障されているからだ。しかし、私たちは、これらの自由や権利を大切にしているだろうか。政治を批判する人が増える一方で、政治に無関心な人々がますます増えている。

 最近の選挙に示される投票率の低さは、その端的な表れだ。特に、若者の政治的無関心が指摘される。中国の若者たちが血を流してまで手にいれようとする権利の大切さに日本の若者たちは気付かず、物の豊かさのなかにどっぷりつかっている。彼らを待つ21世紀の日本はどうなるのだろうか。

 平成7年は、オウム真理教に関する事件で終始した。この事件の中心は、人の命があまりに軽く扱われ、簡単に奪われていることである。オウムの事件だけでなく、人の命を軽く奪う事件は新聞やテレビで毎日のように報じられ、この種の事件に対する私たちの感覚は麻痺しているとすら思える。オウムに関する事件は、これら無数の事件の典型である。

 オウムに関する事件は、物の豊かさに目を奪われて人命の尊さを軽視した世相に対する警鐘として受けとらなければならない。人命の尊重は、多くの基本的人権の中で最も貴重な権利である。従って、人命の尊さを忘れた社会は、当然、その他の人権の尊さも忘れる。政治への無関心はその現われと言える。

※土・日・祝日は中村著「炎の山河」を連載しています。