第五章 地獄の満州 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

第五章 地獄の満州

 人々が政治に無関心となり、投票所に行かないというのは、民主主義を支える重要な権利の放棄である。民主主義は、確かに効率の悪い制度である。しかも、自分の利益ばかりを追求するかに映る政治家を見れば、民主主義に対して失望感を抱くのも無理はない。

 しかし、この書で触れてきた血盟団のテロや、民主主義を否定しムッソリーニを賞賛した松岡洋右の群馬会館における演説を、今、思い出すべきである。松岡洋右の演説に熱狂した数千の人が、現在生きていたら、その多くは、歴史を振り返って、あれは誤っていた、我々は、敗戦という大変な犠牲を払ってそのことに気付いた、そして、民主主義の大切さを知ったと考えるに違いない。

 日本が戦争に入っていった過程を辿り、また、戦争で命を失った多くの人たちや満州開拓民の悲しい出来事などを振り返れば、私たちは、民主主義を育てることが私たちの幸せと社会の発展にとって唯一の正しい方向だと気付く。また、現在、私たちは、大きな時代の節目に立って新しい一歩を踏み出そうとしているが、戦争を振り返り、そこから正しい教えを学びとらなければ、私たちの21世紀は開けないと思われる。

⑭1族12人を日本へ呼ぶ

 松井かずは、テレビや新聞を通して伝わる天安門事件の報道から、また、中国で文化大革命より恐ろしい内乱が始まったと思った。そして、中国にいる家族のことが心配になった。文化大革命では、多くの日本人がいわれのない迫害を受けた。今度も、事態はどのように発展するか分からない。家族を何しても早く日本へ呼び寄せなければならないと思った。

※土・日・祝日は中村著「炎の山河」を連載しています。