人生フル回転「チリ、全員救出の感激、人類の快挙だ」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生フル回転「チリ、全員救出の感激、人類の快挙だ」

◇特別委員会の日、自民控室のテレビはチリの救出劇を映していた(14日)。委員会開始の直前、9時55分、33人の救出は完了した。最後の生還者は地底の指導者ウルスアさんだった。自らしんがりを強く望んだのだ。乗員の離船を見届けて難船を脱出する船長の姿を思わせる。全世界の人々に勇気と感動を与える光景だった。 ◇ピニエラ大統領は、「私たちに高潔さの見本を示してくれた」と33人をほめたたえた。オバマ大統領は、「チリ国民の団結と決意のたまものだ。世界は元気づけられた」と語った。 落盤事故により33人が地底に閉じ込められたことが報じられて以来、私は彼らの行動と救出活動に引きつけられ、このブログにも度々書いてきた。高温、多湿の地下700mの狭い空間に閉じ込められた33人の男たち。自分をその中において想像してみると耐えられないと思った。 生存確認まで17日間かかった。この間は地底の人々にとって最悪の地獄であった。組織的な団結力がなければパニックに陥ってしまう。ウルスアさんはわずかな食料を20日間を想定して、1人分を極小量に分けた。チリはカトリックの国である。地底の人々は神に祈った。 人々の中に詩をつづる人がいた。掘削の音が聞こえ始めた時のことをうたう。「仲間たちよ、士気を高めよう、まず組織をまとめ団結しなければ、祈らなければ、掘削ドリルが間に合うよう神に頼もう、3週が過ぎ音はやまない」。ドリルの音は近づく神の足音であった。 地底の映像が伝えられるようになり、国歌を歌う場面があった。昔観た映画・「眼下の敵」を思い出した。海底に沈められたナチスのUボートの中で、船長の指揮の下国歌を歌うのである。怯えていた若い兵士の表情が活きかえる。歌声は頭上のアメリカ軍にも伝わる。船長は全員の動きを見届け最後に脱出する。洋上の艦長は挙手の礼で迎えた。ロバートミッチャムとクルトユルゲンス共演の感動の場面であった。 ◇チリ国民の熱狂ぶりは凄い。サッカーで勝利した時の南米の人々の興奮ぶり以上だ。走る車から身を乗り出して、「鉱山の男、最高よ」と叫ぶ若い女性の姿があった。国民一人一人が燃えて輝いている。力を合わせて33人の同胞の命を救った喜びに酔いしれている姿だ。 東京のチリ大使館で、パトリシオ・トーレス大使は、「感激で胸がいっぱいだ、チリ人であることを誇りに思う。今日のワインは、これまで味わった中で最も甘い」と語った。チリの人々の純粋な愛国心を見た。人類は一体、生命は尊いということを世界に示した出来事だった。(読者に感謝)


☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。