人生フル回転「ノーベル賞と日本の教育。地底からの救出は近い」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生フル回転「ノーベル賞と日本の教育。地底からの救出は近い」


◇日本中がノーベル賞に湧いている。私も純粋にうれしい。科学という知的な面で世界に存在感を示せたことが嬉しい。中国に対して、これが日本の実力だと胸を張れたことが嬉しい。根岸英一さん、鈴木章さんに心から祝意を送りたい。しかし、心配は、このノーベル賞のラッシュが今後続くのかということ。子どもたちの理科離れが深刻である。外国へ留学する若者が急激に減っている。08年にノーベル物理学賞を受けた益川さんは、今の若者のことを、「良い子ちゃんたちなんですね。我々のような、はちゃめちゃなエネルギーを感じない」と感想を述べている。

 ノーベル賞を受ける人は皆個性的な人だ。だから、ユニークな発想が出来、それをどこまでも追求するパワーを貫くことが出来る。今の教育には、個性的な知力を育てる余裕がない。ノーベル賞の受賞は、今日の教育界にこれで良いのかという課題を投げかけている。

◇日本のノーベル賞受賞は計18人。その中で、物理、化学などの理科系が15人にのぼる。科学技術立国を支え、けん引する力の象徴である。

科学技術立国を発展させるために重要なことは、理科教育に力を入れることと科学技術の振興に十分な予算をつけることだ。目先の利益を追うことだけに予算をつけるようでは科学の底力は育たない。

ニュートリノをとらえるためのカミオカンデの装置、小惑星イトカワに到達し帰還したハヤブサの快挙、これらは実利とかけ離れた夢の追求であった。これらに大きな予算をつけた国の政策は素晴らしい。このような事業が国民に勇気を与え、高度な理論と技術を育むことになる。「一番でなくてもいいでしょう」などと軽薄な考えで科学の予算が仕分けされたのではたまらない。

◇毎日、騒然とした刺激の中にいて、ふと思い出すのは、南米チリの地底の人々の事。落盤事故は8月5日だから地底に閉じ込められて2ヶ月以上が経つ。普通の神経ならもたない。

 救出劇にチリ中が熱狂しており、大統領は、「あなたたちは国の希望です」と地底の人々に呼びかけた。

 チリでは今年2月、巨大地震に見舞われた。その時、普通の夫婦や市民も略奪に加わり、兵士は商品を奪う人々に銃を向けたという。大地震は人々の心までも破壊したのだ。

 33人の救出はチリの人々にとって傷ついた心を建て直す意味があるのだろう。大統領の言葉にはこの意味が込められている。今月17日、大統領は救出を見届けて外遊に立つと報じられた。世界が注目するこの救出劇は、人類の歴史に刻まれることになるだろう。(読者に感謝)


☆土、日、祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。