人生フル回転「がん対策法に示した国会議員の真実。小沢氏刑事被告人に
◇今や、2人に1人ががんに罹る時代である。がん対策は、正に国家的大事業であり、そのベースとなるのががん対策基本法だ。
この法律を作るために末期がんの最期の命を燃焼させた国会議員の写真を改めて見る機会があった。赤じゅうたんを踏む山本孝史参院議員の姿は骸骨がわらっているようで鬼気迫るものがある。
民主党の山本氏は、先送りが予想されていたがん対策基本法を成立させるために、議場で、進行した胸腺がんであることを公表した。
彼は、「がん患者の意向を尊重したがん医療の提供体制の整備」に尽力した。この対策法が命の通ったものになった事には、山本氏の努力が大きく作用した。酸素ボンベを引いて赤じゅうたんを堂々と歩いたこの男は、06年に法律を成立させ、07年夏の参院選で当選を果たし、その年の暮れ、58歳で死んだ。今日、自分の生命を賭して国事にあたる国会議員は稀だと思う。山本氏は、その稀な一例である。
キリストが十字架にかけられた事により、その教えは世界宗教の命を得た。山本孝史氏ががん患者として命をかけたことにより、がん対策基本法は命の宿るものとなった。両者には、共通するものがあるのだ。
この事を踏まえてがん対策基本法の精神を活かさねばならない。この法律は、各都道府県にがん対策推進計画の策定を義務づけている。そして、群馬県がん対策推進計画がつくられた。その中には、がんによる死亡者数を10年間で20%減少させることや、がん検診受信率を50%以上にすることなどがあげられている。また、すべての患者及びその家族の不安や苦痛の軽減並びに治療生活の質の維持向上が盛られている。この点の具体策が、この議会で取り上げられた緩和ケアである。
◇小沢一郎氏が検察審査会の起訴議決により強制起訴されることになり、刑事被告人となる。政治家としての最大の危機にどのように対応していくのか大いに関心がもたれる。
現在、証拠改ざん問題で検察不信の嵐が吹き荒れているが、検察の不起訴を否定する今回の「議決」は、これまた、検察に対する国民の不信を示すものだ、正義の砦であるべき検察の改革が迫られている。裁判員制度の動きと共に歴史的な出来事である。(読者に感謝)
☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。