中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba
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死の川を越えて 第223回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

「俺は、韓国の反日運動を思い出しましたよ」

「そうでしょうな。あのような大集会はこれから難しくなるでしょう。戦争が近づいている大変な時にお前たちは何だという世論が起きますからな。そういう中で、ぎりぎり、どうやってこの湯の川を守っていくか、私たちの人権を守るための闘いをどう続けるか、これが問題なのです」

「日本は地獄に向かっているのでしょうか」

「正直、私には分かりません。人間、謙虚さを失うと正しくものは見えなくなりますね。この湯の川にいると、それがよく分かる気がします。生生塾で、私の教え子が関東軍の中にいて、満州国の建国を身近に見た話をしました。覚えていますか。九州大学の時の生徒です。最近、彼から手紙が来ました」

 そう言って水野は、封書を手に取った。

「彼は、摂政薄儀を近くで見て寂しそうだ、それと比べて日本の官僚は傲慢だ、と書いています。彼が見ているのは、操り人形なのですよ。満州国の建国、中国への侵略は、謙虚さを忘れた日本人の姿ではありませんか」

「万場老人も同じことを言っています。そういう国の方向は、俺たちにどう関わるのですか」

「じわりじわりですよ。万場先生が言っておられるように、戦いに向かうには内を固めなければならないというのでハンセン病患者を取り上げ、学生に話したことがあります。人権の授業の教材でした。学生と一緒に本妙寺の集落に入って調べました。その時、知り合いになれた人がいます。立派な人物で、中村実平さんといって、集落の指導者でした。その後、私が発病したこともあって、この人とは一層親しくなりましてな、今も緊密な関係です。実は私が湯の川に来たのはこの人の勧めでした」

「本妙寺にそのような集落があるのですか」

 正助は初めて聞く水野法学士の話に驚くばかりであった。

つづく

「旭山動物園職員の事件の衝撃。野性動物の命の輝きを思う。入園者はどう変化するか」

◇人の命を軽視する事件が多発している。日本人の倫理観、人権意識がおかしくなっていることと関係するのかと考えさせられる。そんな情況の中で旭山動物園の職員が逮捕された。妻の遺体焼却、損壊容疑の文字が躍る。またかという思いが湧く。第一に気に掛かるのは旭山動物園の倫理的特色である。

 朝日山動物園は1967年、日本最北の動物園として設立された。この動物園のテーマは「伝えるのは命」である。野性動物の命の輝きを展示する「行動展示」を具体化しようとするものだ。それは動物の自然な行動を引き出そうとする点に特色がある。動物が本来持つ能力や行動を引き出そうとするのがその「行動展示」の目的である。円柱水槽を泳ぐアザラシ、空を飛ぶようなペンギン、迫力ある猛獣の姿など、命の躍動を間近に感じられる試みが最大の特徴である。しかし、野性動物本来の命の輝きを展示することは容易ではない。「命の輝き」を実現するには人間がつくった箱庭のような環境では所詮無理なことである。野性動物の命の輝きは動物愛護をベースにするものでなければならない。「命の輝き」は自由を拘束しては実現不可能である。理想的な野性動物の命の輝きは日本のような狭い国土では無理に近い。アフリカの広大な原野で野性動物が自由に走り回る姿こそ命の輝きである。

 旭山動物園は、命の輝きを、無理を承知で精一杯実現しようと試みているものである。職員・鈴木達也容疑者の今回の逮捕事件は低い次元で命の輝きを砕いて泥にまみれさせるものである。いかにも情けない。旭山動物園の職員として先ず求められるのはその創立の精神である。妻の遺体を焼却炉に運び燃やして遺棄した。容疑者は殺害までほのめかしているという。道警が焼却炉を調べたところ遺体の一部が見つかった。焼却炉は死んだ動物の焼却のために使われていた。犯人は人間の遺体を死んだ動物と同じように扱っていたことになる。旭川市によれば、動物園は5月1日まで営業を延期したという。旭川動物園の一日の入園者数は、夏季の土日祝日には1万人を超える日が多く、ゴールデンウィークなどには3万人に達することもあるという。今回の衝撃の事件によって入園者はどう変化するか興味が持たれる。また、入園者は動物を見ながら、それぞれ今回の事件について思いを巡らすに違いない。それぞれ人間としての倫理観について複雑な心理に駆られるのではなかろうか。(読者に感謝)

「医療従事者性犯罪の衝撃。外国人犯罪の増加に思う。国家情報局の創設と情報の重要さ」

◇医療従事者による性犯罪が後を絶たないと言われる。こども家庭庁は病院や診療所など医療機関での性被害に関する初の実態調査結果を発表した。医療従事者と患者は医という特別の関係を基礎にした関係にある。それだけにそこで生じる性犯罪は深刻である。こども家庭庁の調査と公表は遅きに失した感がある。調査の結果は衝撃的である。性被害の当事者団体はこの調査結果を氷山の一角とみているという。この問題は特別の環境下に於ける人権被害として国も行政もしっかり受け止めねばならない。

◇日本はかねて奇跡的に治安が良い国と言われてきた。このことは来日外国人による警報犯検挙数と結び付いている問題に違いない。新型コロナウィルス流行期後、窃盗や組織的な犯罪が増加傾向にあり、特にベトナム人やカンボジア人の検挙件数が増加している。

 2023年の来日外国人の刑法犯検挙数は1万5,541件で、前年比20.0%増となっている。出身国別の状況はというと、中国人の第一位が続いてきたが、2024年度はベトナム人が一位となった。全国の刑務所の中で最大規模は府中刑務所である。ここは、東京ドーム約5~6個分の広大な敷地を持ち収容定員は2,668人である。そして外国人は現在、前年より約40人増え4人に一人が外国人である。来日外国人の犯罪状況を知ることは外国人との共存が加速する中で不可欠である。現在日本では外国人排斥が広がる傾向がある。グローバル化が進む中、人口減少が避けられない日本である。外国人への理解は非常に重要なのだ。外国人政策を適切に進めることは日本の国際的信用を維持する上でも重要である。日本は国際協調を憲法で高く掲げ、人間尊重と人権を国の基本に据える国である。現在日本人の精神の基盤が危機にあることを感じる。余りにも器械文明が発達し過ぎ、重点が精神から指先に移っていると思われるからだ。

◇現在、世界は情報戦争の渦中にある。日本は長いことスパイに弱い国、スパイが暗躍する国とされてきた。国の安全保障の危機が叫ばれている。孫子の兵法に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とある。孫子は約2,500年前の人であるが情報の重要さを示すこの言葉は兵器が異常に発達した現代に於いても少しも変わらない。首相の公約である「国家情報局」の創設が近づいている。我が国初の統合調査機能を持つ機関の実現である。改めてこのことを次回に書くつもりである。(読者に感謝)

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