中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba
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「旭山動物園職員の事件の衝撃。野性動物の命の輝きを思う。入園者はどう変化するか」

◇人の命を軽視する事件が多発している。日本人の倫理観、人権意識がおかしくなっていることと関係するのかと考えさせられる。そんな情況の中で旭山動物園の職員が逮捕された。妻の遺体焼却、損壊容疑の文字が躍る。またかという思いが湧く。第一に気に掛かるのは旭山動物園の倫理的特色である。

 朝日山動物園は1967年、日本最北の動物園として設立された。この動物園のテーマは「伝えるのは命」である。野性動物の命の輝きを展示する「行動展示」を具体化しようとするものだ。それは動物の自然な行動を引き出そうとする点に特色がある。動物が本来持つ能力や行動を引き出そうとするのがその「行動展示」の目的である。円柱水槽を泳ぐアザラシ、空を飛ぶようなペンギン、迫力ある猛獣の姿など、命の躍動を間近に感じられる試みが最大の特徴である。しかし、野性動物本来の命の輝きを展示することは容易ではない。「命の輝き」を実現するには人間がつくった箱庭のような環境では所詮無理なことである。野性動物の命の輝きは動物愛護をベースにするものでなければならない。「命の輝き」は自由を拘束しては実現不可能である。理想的な野性動物の命の輝きは日本のような狭い国土では無理に近い。アフリカの広大な原野で野性動物が自由に走り回る姿こそ命の輝きである。

 旭山動物園は、命の輝きを、無理を承知で精一杯実現しようと試みているものである。職員・鈴木達也容疑者の今回の逮捕事件は低い次元で命の輝きを砕いて泥にまみれさせるものである。いかにも情けない。旭山動物園の職員として先ず求められるのはその創立の精神である。妻の遺体を焼却炉に運び燃やして遺棄した。容疑者は殺害までほのめかしているという。道警が焼却炉を調べたところ遺体の一部が見つかった。焼却炉は死んだ動物の焼却のために使われていた。犯人は人間の遺体を死んだ動物と同じように扱っていたことになる。旭川市によれば、動物園は5月1日まで営業を延期したという。旭川動物園の一日の入園者数は、夏季の土日祝日には1万人を超える日が多く、ゴールデンウィークなどには3万人に達することもあるという。今回の衝撃の事件によって入園者はどう変化するか興味が持たれる。また、入園者は動物を見ながら、それぞれ今回の事件について思いを巡らすに違いない。それぞれ人間としての倫理観について複雑な心理に駆られるのではなかろうか。(読者に感謝)

「医療従事者性犯罪の衝撃。外国人犯罪の増加に思う。国家情報局の創設と情報の重要さ」

◇医療従事者による性犯罪が後を絶たないと言われる。こども家庭庁は病院や診療所など医療機関での性被害に関する初の実態調査結果を発表した。医療従事者と患者は医という特別の関係を基礎にした関係にある。それだけにそこで生じる性犯罪は深刻である。こども家庭庁の調査と公表は遅きに失した感がある。調査の結果は衝撃的である。性被害の当事者団体はこの調査結果を氷山の一角とみているという。この問題は特別の環境下に於ける人権被害として国も行政もしっかり受け止めねばならない。

◇日本はかねて奇跡的に治安が良い国と言われてきた。このことは来日外国人による警報犯検挙数と結び付いている問題に違いない。新型コロナウィルス流行期後、窃盗や組織的な犯罪が増加傾向にあり、特にベトナム人やカンボジア人の検挙件数が増加している。

 2023年の来日外国人の刑法犯検挙数は1万5,541件で、前年比20.0%増となっている。出身国別の状況はというと、中国人の第一位が続いてきたが、2024年度はベトナム人が一位となった。全国の刑務所の中で最大規模は府中刑務所である。ここは、東京ドーム約5~6個分の広大な敷地を持ち収容定員は2,668人である。そして外国人は現在、前年より約40人増え4人に一人が外国人である。来日外国人の犯罪状況を知ることは外国人との共存が加速する中で不可欠である。現在日本では外国人排斥が広がる傾向がある。グローバル化が進む中、人口減少が避けられない日本である。外国人への理解は非常に重要なのだ。外国人政策を適切に進めることは日本の国際的信用を維持する上でも重要である。日本は国際協調を憲法で高く掲げ、人間尊重と人権を国の基本に据える国である。現在日本人の精神の基盤が危機にあることを感じる。余りにも器械文明が発達し過ぎ、重点が精神から指先に移っていると思われるからだ。

◇現在、世界は情報戦争の渦中にある。日本は長いことスパイに弱い国、スパイが暗躍する国とされてきた。国の安全保障の危機が叫ばれている。孫子の兵法に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とある。孫子は約2,500年前の人であるが情報の重要さを示すこの言葉は兵器が異常に発達した現代に於いても少しも変わらない。首相の公約である「国家情報局」の創設が近づいている。我が国初の統合調査機能を持つ機関の実現である。改めてこのことを次回に書くつもりである。(読者に感謝)

死の川を越えて 第222回

※土日祝日は、中村紀雄著「死の川を越えて」を連載しています。

 

五 水野は語る、本妙寺集落

 

 明星屋の浴客水野高明が、かつて九州帝国大学で法学を教えていたこと、そして元熊本藩士の子孫であることは既に書いた。湯の川の患者一般にいえることであるが、この水野も謎の存在であった。それが渦巻く状況の中でこの男は集落の出来事に関わる中で、湯の川で次第に重要な役割を演ずることになる。

 そこで、信頼感が芽生えれば同病のこととて、絆がつくられることも自然の流れであった。ある夜、正助は明星屋の水野の居室を訪ねることになった。水野が話をしたいと言うのだ。一歩部屋に入って正助は思わず息をのんだ。壁を埋め尽くす程に積み上げられた書物。それは、万場軍兵衛の所に凌ぐ景観といえた。

「は、は。驚いていないで座りたまえ。お互い不思議な人生ですな。ハチマキをして群集の前に立つなど想像もしなかったことです」

「先生、格好よかったですよ」

「ありがとう。昔大学では若い人に囲まれていました。君を見て、あの頃を懐かしく思い出しました。この湯の川は、天国と地獄ですな。万場先生がハンセンの光と言い、リー女史は喜びの谷と申しておりますが、私にとっては、生きた真の大学であり人生の実験場です」

「先生は、自由の大学だと言いましたがそのことですか」

「そうです。大学とは立派な建物で囲まれた所とは限らないのです。人間の真実を追究するところです。個々の学問のその手段です。私は湯の川でそのことを肌で理解しました」

 水野はこう言って、遠くを見る目をした。そして、笑顔になって言った。

「あの住民集会で、正助君の演説の姿を見てな、九州大学のキャンパスを思い出しました。学生運動というのがありました。純な若者は、社会の不正に怒りをぶつけます。権力に抵抗します。私の心の中では、その乗車拒否反対集会は九州大学の構内の如く見えました。そこで思わず、ハチマキの行動となりました。は、は、は」

つづく

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