妻の役割(34) | 夫の知らない妻

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官能小説「他人に抱かれる妻」別館です。

2台の車がゲートの向こう側に停車している。

 

分厚く巨大な窓、野獣の襲来にも耐えられるようなしっかりとした車体。

 

オフロード車らしく、極太なタイヤを備え、遠方を見渡せるほどの車高だ。

 

「皆さんはこちらの車で先に走ってください」

 

ハネスの指示に従い、私は上司たち3人に前方に停まった車に乗るよう勧めた。

 

「大きな車だな。我々3人がこっちかい、中川君?」

 

「ええ。ただ男性だけでは味気ないと思いますから、妻も同乗させますよ」

 

3人の目が瞬時に輝いた。

 

好色な連中だぜ。

 

ふん、せいぜい今のうちのお楽しみだ。

 

私はハネスと笑みの混じった視線を交わしながら、妻に言った。

 

「佐和子、悪いけど皆さんと一緒に乗ってくれないかな」

 

「わかったわ、あなた」

 

嫌がることなく、どこか嬉しそうに3人のもとに向かう妻の姿。

 

やつらによって変えられてしまった妻を、私は果たして取り戻すことができるのだろうか。

 

できる。

 

人妻を寝取ることしか考えていない3人の欲深い毒牙から、妻を解放する。

 

それが、今日だ。

 

「奥さん、さあ、ここに座って」

 

「真ん中に座るんですか?」

 

露わにした長い腕と美脚をまぶしく輝かせながら、妻は座席に登ろうとする。

 

「奥さん、私につかまってください」

 

ドアを開けた宮野が妻の手を握りしめ、力強く後部座席に招き入れる。

 

席に座った後も、どうやら二人は手をつなぎ合っているようだ。

 

「奥さん、駄目ですよ、こんな脚を露出しちゃ」

 

助手席から振り返る北原が、ホットパンツから伸びる妻の美脚に触る。

 

「北原君、奥さんは私たちのことを思ってこんな色っぽい格好で来てくれたんだよ」

 

妻の左に座った橋口がそう言いながら、自分はその手を妻の上半身に伸ばす。

 

「まだ我慢してください、皆さん・・・・」

 

「奥さん、我慢なんてできませんよ、こんなセクシーな格好されて」

 

「橋口さんってば・・・・、いけません、そこは・・・・・」

 

「大きくなったみたいですね、奥さんのここ」

 

「皆さんに散々いじめられたからです・・・・、ううんっ、いやんっ・・・・・」

 

胸元をいじめられて悶える妻の右側に座る宮野とは、まだ手を握り合っているようだ。

 

「宮野さん、助けてください。皆さん、朝からエッチすぎます・・・」

 

「仕方ないですよ。それだけ素敵なんですから、奥さんは」

 

夫も知らない秘めた関係が疑われる会話を、強く閉められたドアが断ち切った。

 

「ボス、では先に行きますから」

 

マップを片手に、ハネスは私にそう告げた。

 

「ああ、頼む」

 

「午前中は普通のツアーです」

 

何かを伝えるように、彼は私に笑みを送る。

 

「午前中は、か」

 

「At least, they can enjoy until lunch time」

 

「最後くらい楽しんでもらおうってわけか」

 

「そうです、ボス」

 

そして、ハネスは上司3人と妻が乗る車の運転席に向かった。

 

彼らの車に続き、私が乗った車も出発した。

 

ハネスの友人という、現地の若者が運転席にいる。

 

「ミスターナカガワ、話は全てハネスから聞いています」

 

「そうか」

 

ハネスよりやや小柄だが、同じように筋肉質の若い肉体の持ち主だ。

 

「ジムと呼んでください」

 

「頼むぜ、ジム」

 

「任せてください。おもしれえ1日になりそうだ」

 

同感だ。

 

面白く、ドラマティックな1日になるだろう。

 

ギラギラと照り付ける上空の太陽を見つめ、私はそうつぶやいた。