愛する家族のために
何かできることはないか
と考えたとき
わたしたちはつい一生懸命に
なりすぎてしまうことがあります。
しかし、その気持ちが
知らず知らずのうちに
相手を追い詰めてしまう
ことがあるのです。
今回は、家族の感情表出(EE)が
メンタルヘルスに与える影響について
考えてみましょう。
先日の記事で
精神科マンガ『Shrink』に載っていた
家族の感情表出(Expressed emotion)
について少し触れてみました。
家族の感情表出の高低が
精神疾患のある患者の回復に
影響するという研究があります。
家族の高い感情表出とは
(High expressed emotion:高EE)
家族が相手に対して
感情を強く表現すること
例えば、こんな場面が
思い当たりませんか?
- 「どうしてこんなこともできないの?」とイライラした口調で言ってしまう
- 「あなたが心配で眠れないわ」と不安を押し付ける
- 「頑張りなさい」と過剰な期待をかける
これらはすべて、高EEの一部です。
家族が心配や愛情から
発する言葉であっても、
相手にはプレッシャーや
ストレスとなってしまう
ことがあります。
隠していた自傷行為が
家族に知られてしまった
高校生がいました。
母親がもうこんなことしないで
と泣きながら訴えたそうです。
今の子どもたちは
親不孝をすることに対して
罪悪感を抱きやすい
傾向があります。
叱られなくて済んだとはならないのです。
親を泣かせてしまうような
自分はだめなのだとさらに
追い打ちをかけてしまいます。
高EEの家庭ではこのように
当事者が自分自身を否定し、
孤立感を深めることが
少なくありません。
その結果、症状の悪化や、
治療への意欲が低下してしまう
ことがあるのです。
では、どうすれば家族として
サポートできるのでしょうか?
- 批判を減らし、相手の努力を認める
たとえば「まだできていないんだね」ではなく、「今日は少しでも頑張ってみたんだね」と、相手の小さな前進を見つけることから始めましょう。
- 静かに見守ることの大切さ
無理にアドバイスをしようとするのではなく、そばにいるだけでも相手は安心します。「何かあったらいつでも話してね」と伝えるだけで、心の負担を軽くできます。
高EEは愛情や善意ゆえに
生まれるものです。
しかし、その愛情を少しだけ
別の形で伝えることで、
家族は当事者にとって
より大きな支えとなります。
ほんの少しの意識の変化が
相手にとっては
大きな安心感につながるのです。
CRAFT(クラフト)と呼ばれる
問題を持った当事者に対して
家族がどのようにかかわればよいか
支援するプログラムがあります
ご家族向け