「前田家三代の女性たち」
監修・二木 謙一
(北國新聞社  2000年6月版)



二木謙一さん、國學院大学教授とありますが、女子高校長のお父様が体調を悪くされて校長を退いた後を嗣ぎ、大学は名誉教授となられたと思います。
今は校長も後進に譲られ、研究の日々かも。
NHKの大河ドラマなどの時代考証でお名前をよく拝見します。



(実は、ワタシの母校でして…あ、大学じゃありません、女子高の方)



そんなことを考えもせず、タイトルに惹かれて去年だか一昨年かに買い込みながらも積んだままだったのですが、本棚を整理して「あら、まだ読んでな~い」

読み出したら、しっかりと面白い。
皆さんの予想通り、本棚整理はちーとも進まず(笑)



読み進んで最後の辺り。
「二木先生のお父様が七尾市出身で、ご自身も疎開されていた」
云々の記述がありました。
へ~!知らなかった~!

母校の校長先生が北陸、それも能登半島に縁があったとは。こんな繋がりもちょいと嬉しいです。
お父様は二木友吉さん、お祖父様は医学博士・二木謙三さんです。
まぁ、それはさておき。



タイトルの「前田家」とはもちろん、加賀百万石の前田家です。大河ドラマにもなった
「利家と まつ」の前田利家、元々は尾張の前田家の四男坊。
長兄の跡継ぎは妻君の実家からの養子のつもりが、当時の主君・信長の命により利家が当主になります。
元々の跡継ぎ、前田慶次(又は慶次郎)ですよ。

*漫画やパチンコでは
「花の慶次」
*歴史小説だと
「一夢庵風流記」
*NHKの今やってる木曜時代劇だと
「かぶき者 慶次」

まあ、それもさておき(笑)



戦国時代を戦い抜き、外様大名でありながら徳川の時代を生き抜いた前田家。
夫を支え、父や兄・弟のために役立っ道を選んだ女性たち。
時代劇も武将(男性)ばかりクローズアップされた時代もありましたが、近年は女性の側から見つめた物語がたくさんありますね。
女性も人質や政略結婚だけでなく、ちゃんとそこに生ける証を現していたんですね。

天下取りの戦いに翻弄されて悲しい結果に陥る女性もいたと思いますが、幸不幸は自分が決めるもの。
人質も自分の意思で旅立つ女性たち。

主に利家の正室「おまつの方(後の芳春院)」や、娘たち、側室に三代藩主の正室の「珠姫」(徳川秀忠の娘)などの生きざまがありありと見えてくるようです。



これから歴史小説を読む方は、その前にこんな本も読んでおくといいかもしれません。
史実に基づいた物語は(たくさん脚色されたドラマ仕立てではなく)
あらゆる点と点を繋いで線に、そして面や流れに一つ一つ作り上げて行くものです。
その地道な作業・研究・調査の一端を垣間見れるかも知れませんよ。