前回からの続きです。

特撮と漫画のクウガどちらが強い?

今回は金の力と凄まじき戦士の検証です。

今回も2000年クウガ=五代、ディケイド版クウガ=小野寺、漫画版クウガ=雄介 で検証していきます。

 

「金の力とは」

クウガが臨死体験を経て得た「ミレニアム特別バーション」の力。過去のクウガには発現しておらず、死の淵から蘇った五代の特別な力です。具体的にどうなるかと言いますと、赤、青、緑、紫の持つ特徴がさらに強化されるというもの。

漫画版では雄介が絆を結んだグロンギのガリマの死を乗り越えて発現した。

 

「比較検証」

五代

前述した通り、一度死の淵に瀕して復活した時に発現した。初出現はガリマとの戦闘中。ゴウラムによるアタックですらかき消したほどのガリマを剣の一突きで撃破した。

青の金では攻撃力だけではなく、片手で怪人を数十mも投げ飛ばす怪力を見せつけた。

緑の金は、感覚がさらに研ぎ澄まされ、単発だったボウガンの攻撃が連射式になった。

紫は腕力が数倍になり、剣による攻撃だけではなく装甲の強さも強化された。紫では大ダメージを受ける攻撃も身じろぎ一つせずにはじき返すほどの防御力を得た。

金の力を発現する時は得に特別な道具や身振りが必要なわけではなく、転がりながら金の力が発動してそのまま必殺技を打ち込むということもできる。

30秒の時間制限があり、まさに必殺技を打ち込む瞬間だけ発動する「奥の手」になった。

強敵ガドルとの闘いのあと、2度目の電気ショックを受けて「黒の金」の力を得、金の力を無限に維持できるようになった。

あまりにも強力すぎる力ゆえ、倒した怪人が爆発する際にとんでもない被害が発生する。劇中では半径3kmにおよぶ範囲を飲み込む爆発が発生し、鉄道架線などが無数に破損する被害が出た。

 

小野寺

金の力は発現しなかった。

 

雄介

ガリマの死を乗り越えたことで右足nマイティアンクレットが出現。強敵のガメゴの体を一撃で貫通するほどの攻撃力を得た。

その後青の金も発現。受けた傷をたちどころに回復する怪人の再生速度を上回る速度で攻撃をしつづけて怪人を撃破。

五代ほどの広範囲な被害はもたらさないが、それでもガメゴを撃破した余波で復旧に半年ほどを要する爆発が発生した。

 

「比較」

劇中の強化ぶりを見ると、圧倒的に五代の強化具合がすごい。

もともとパワーで劣る形態であった青ですら、怪人を片手で数十mも投げ飛ばす腕力を発揮し、水平線で大爆発が起こる。

金の力はとにかく爆発の規模が凄まじく、パワーアップした!と表現されている。

漫画の方ではもっととんでもない描写になるのかな?と思っていたが、意外と控えめな表現だった。とは言え、アギトの攻撃を正面から完全にはじき返す装甲の強さを見せた後に一撃で体に大穴をあけるほど描写はなかなかのもの。

両者ともにガメゴを赤の金で撃破しているのだが、怪人へのダメージは雄介。街中への影響度は五代。という感じ。

最終的な被害状況を考えると、やはり五代の方が上かと思う。

 

 

「凄まじき戦士とは」

次は凄まじき戦士について。設定では「アルティメットフォーム」と呼ばれている形態。角が4本になり全身真っ黒な中に金色のラインが血管のように露出している。「聖なる泉枯れ果てし時」現れるとされていて、わかりやすく言えば戦うことしか考えなくなった暴走形態という感じでしょう。

この形態にならないためにアークルにはセーフティが仕掛けられており、変身者の聖なる泉が枯れ果てそうになると脳内にイメージ映像が流れて「こうなるぞ?」というメッセージが伝わる。

そのメッセージを受信した者がどういう行動をとるかによって暴走するかしないかの分かれ目となるようだ。

劇中では凄まじき戦士、究極の闇をもたらす者と言われており、その名の通りとんでもない身体性能を持つ。

体を走る金のラインは高エネルギーを循環させる道となっており、攻撃を繰り出すたびに「赤の金」の必殺技のように身体各部から高エネルギーが噴出する。

そのため、ただのパンチが「黒の金」の必殺キック以上の威力を持つ。

 

「究極の闇をもたらす者」

原典では究極の闇とは、グロンギの頂点に立った者が行う人類(リント)への無差別殺戮のこと。劇中ではン・ダグバ・ゼバがこれに該当する。凄まじき戦士となったクウガは究極の闇をもたらす者と同等の力を振るう存在となっている。

一方、ディケイドの「クウガの世界」では解釈が異なっており、アルティメットフォームになることが究極の闇と表現されていた。

 

「二人の比較」

五代

最終決戦に行く前に今までお世話になった人々へ挨拶をすませた五代は、一度目のダグバとの戦闘で受けた傷が回復せぬままに凄まじき戦士へと変身することを決意。腹部のアークルには亀裂ができており、自分が優しい心を失い暴走してしまった場合には、その亀裂に神経断裂団を打ち込んで殺してほしい。と一条に託した。

しかし、五代は優しい心を失わず凄まじき戦士へと変身。

あらゆる能力が戦闘向けに強化された状態でダグバとの決戦に突入。体内から敵を焼き尽くす発火攻撃から始まり、全力の肉弾戦へと移行。紫の金を超える強度の装甲を破損させて血飛沫をまき散らす殴り合いへと発展した。

最終的にはベストタイミングで決まったカウンターのボディストレートがダグバのベルトを破損させ、直後にダグバが五代のゲルトを破損させお互い変身解除しての戦いへとなった。

 

小野寺

最初に登場したのは夏美の夢の中。

累々と横たわる仮面ライダーの山の中で倒れていたクウガが起き上がり、ディケイドを相手に変身する。

続いてテレビ放送最終話でキバーラの噛みつきを受けたユウスケが変身。他の仮面ライダーとともにディケイドへと襲い掛かる。

そして三度目は劇場版で登場。次々と仮面ライダーを葬り続けるディケイドを止めるためユウスケが決意して変身。格闘戦のあとアルティメットゴウラムへと変形してディケイドに襲い掛かった。

いずれの戦闘でも格闘戦を展開。

一度目はディケイドに軽くあしらわれる様な感じで数発の打撃を受けたあと、光る拳で殴りかかり大爆発を起こした。

二度目は他の仮面ライダーとともにディケイドを取り囲みジリジリと削る戦闘。

三度目は正面からの肉弾戦を開始。パワーでディケイドを押し数発の打撃をクリンヒットさせてスタンディングダウン状態へと持ち込むが、深追いしたところをいなされて数m下に落下。上から踏みつけられてダウン。

起き上がって殴りかかるものの、後ろ蹴りを受けて再度ダウンした。

 

 

「比較」

この形態での戦闘はどちらもパワーで押す展開になっていた。

五代の場合は押し込みながらもダグバのパンチに合わせて後ろ蹴りでカウンターを取ったり、攻撃をさばいた投げを打ったり、上のパンチに合わせて屈伸してのボディストレートを決めている。

紫の金の時と同じで、全力攻撃しつつも相手の動きに合わせて適格な対応を取っているのがわかる。

一方の小野寺もかつて友人であり、自分以外のライダーを次々と葬った激情態相手に一歩も引かない戦いを展開した。

作品を見るとわかるのだが、激情態と戦っている他のライダーは完全にディケイドに飲まれている。小野寺は戦闘開始からディケイドに飲まれることなく真っ向勝負できているところは流石と言ったところ。

ただ、不用意に近寄ったところをいなされたり、逆転された時に焦って攻撃に出るところに甘さが出ているように感じる。

相手が友人であった激情態だったとは言え、向かい合った瞬間問答無用で焼き殺しにかかった五代と比べると覚悟の甘さが見える結果となってしまった。

 

 

「最後に」

物語の主役であるかどうかで戦いの行方がガラリと変わる典型的な描写だと思う。

やはり物語の主人公である五代は、動きの一つ一つ丁寧に作りこまれているのがわかる。

小野寺の場合は主役を引き立てるための人物なので、どうしても見劣りする描写になってしまう。こういう現実的な部分は無視できないものの、それをあえて無視して検証すると、自分と同等以上の凶悪な怪人を相手に一歩も引かない戦いができた五代と、身体性能では自分より圧倒的に劣る相手に後れを取った小野寺。という図式になってしまう。

主役か脇役か?

それが全てであることを踏まえたうえでドライに検証するとそうなってしまう。