民法上の担保物権で最後に学習する抵当権は、
抵当権までに学習してきた内容が準用されています。
六法をひかない受験生はこの事実も知らない。
これでは担保物権の知識で溺れても、
言葉は悪いけど「でしょうね。」となってしまいます。
372条をひくだけで回避できることですから、
ひと手間を惜しまないでください。
さて、
この372条で準用される304条は、
先取特権の章で規定されている2項からなる条文で、
見出しには(物上代位)と記載されています。
これが、抵当権の物上代位の原点です。
そして、この条文には、
「その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって
債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、
代位行使できる。」
と物上代位の対象と、
「ただし、先取特権者は(抵当権者は)、
その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。」
と物上代位の行使方法が規定されています。
つまり、
物上代位の論点となるのは「2つ」です。
❶物上代位の対象、
売買代金:抵当不動産の売買代金
賃貸の賃料:抵当不動産が賃貸された場合の賃料債権
*交換価値のなし崩し的具体化(我妻説)
滅失・損傷によって受けるべき金銭等:不法行為に基づく損害賠償請求や
債務者が取得する火災保険請求権など
ここでひとつポイント論点が、
「転貸賃料債権への物上代位」です。
そもそも、物上代位は、
”債務者が受けるべき金銭その他の物”
に対しておこなっているものなので
転貸賃料債権には物上代位ができるわけありません。
しかし、
転貸人を賃貸人(債務者・抵当権設定者)
と同視することを相当をすることができる場合は
「転貸人の収入=債務者の収入」となるため物上代位できます。
ここは物上代位の定義・趣旨がわかっていたら、
すんなり入ってくる知識ですね。
❷物上代位の行使、
価値代替物の「払渡し」または「引渡し」の前に差押えと
ありますが、これは二重弁済を強いられれる危険から
第三者を保護するためのですね。
《第三者(の)(への)》
弁済:払渡し・引渡しにあたる
債権譲渡:払渡し・引渡しにあたらない
※債権譲渡がされた段階では、第三債務者は弁済していない。
つまり、二重弁済の危険はまだないため、あたらないと考える。
差押え・転付命令:払渡し・引渡しにあたる
※転付命令が第三債務者に送達されたら債権の移転は確定する。
つまり、二重弁済の危険が生じているため、あたると考える。
ここでふたつポイント論点に、
「物上代位と相殺」「賃貸借契約終了後の賃料債権」
がありますが、これはもう少し後に学習してください。
まずは、
上記を理解から整理していきましょうね。
徐々に民法も知識が多くなり、
力技で押し切りたくなる時期ですが、
丁寧な学習は今しかできない!
合格するための学習をしていきましょう。
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