北欧の人びと その14 | とあるランナーの足あと

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北欧の国々を紹介するシリーズ第14回は、スウェーデンそして北欧シリーズの総括をします。

前回、スウェーデン人のマナーの悪さは、極端な平等主義個人主義に原因があるというお話をしました。

それは、国の政策にきわめて従順な国民性によるものだと言います。
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給与、休暇日数、子育て、飲酒量、テレビ番組の内容、戦争に対する考え方に至るまで国民生活のほぼ全てが政府によって管理されています。

1967年に道路を右側通行から左側通行に変えた時も、クラクション一つ鳴ることなく移行されたそうです。


また、平等主義も政府が主導していて、スウェーデン語で「あなた」の丁寧な呼び方であるni(ニィ)を差別につながるという理由で廃止し、
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男性の代名詞で英語のheにあたるhan(ハン)と、女性の代名詞で英語のsheにあたるhon(ホン)を廃止して、男女共通でhen(ヘン)と呼ぶように変更しようとしています。

挙げ句の果てに、とある県議会では、公衆トイレの性別差をなくす法案が可決されたとか…


全ての人が同じような行動を取る同調を推し進め、誰もそうした社会のあり方に疑問を抱かない、これは全体主義そのものです。

しかし、決定的に違うのは社会規範を上から押し付けられたのではなく、自ら進んで受け入れたという点です。

全ては近代化のために。

賃金、雇用、育児、女性の権利、経済政策、そしてナチスへの資源や軍事兵器の提供まで、政府の行うあらゆる政策は近代化のためにという大義名分で進められました。
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その結果、第二次世界大戦中からその後の数十年間で国民1人あたりの富はアメリカに匹敵するほど増加し、その富は社会主義制度で公平に配分され、

経済的にも社会的にも奇跡的な発展を遂げて来たので、国民は何の不満もなく全ての政策を受け入れたのです。


さらに驚くべきは、その平等主義を推し進めるあまり、人に頼ることや世話になることは、個人の尊厳を脅かすことになる、だから家族にさえ頼らない、という極端な個人主義に行き着いたことです。

家族が生活費や学費を負担している限り、両親が賛成しなければ、若者が自分の学びたい分野に進むことはできません。

スウェーデンでは、奨学金の制度が充実していることで、進路に親が口出しすることなく、自分の好きなことが学べるのだと言います。
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また、他の国と違って、妻は夫に頼らなくて良い、子供も親を頼らなくて良い、高齢者も子供を頼らなくて良いのです。

幼児を家で育てるよりも、託児所に預けて働きに出ることを推奨する向きすらあります。

その結果、離婚率は世界一高く、高齢者の1人暮らしも多く、自分のことは自分で解決すべしという自立心を強化している面もあります。

ただし、その自立は、アメリカ人のそれとは大きく異なります。

アメリカ人は成功を掴み、利益を得るために自由に行動できることを是としますが、スウェーデン人は会社にも家族にも社会制度にも縛られないことを是とします。
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そして、強い感受性や独自の価値観を持つ変わった人達が活躍できる多様性に富んだ社会とは違った、きわめて同質性が高く同調した社会になるわけです。

また、経済も身分の格差もない、きわめて平等な社会でもあり、サービス業でも客と店員は同等で、何か頼むと迷惑そうな顔をします。笑
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スウェーデンに限らず、北欧の国々は最大多数の最大幸福と言われた社会を実現した姿であり、退屈で閉鎖的な側面もあるものの、西欧の国々と比べたら平和で平等で経済的にも成功を収めています。

そして、自立性が高いことで人生を主体的に生きることができる、それが北欧の国々に住む人々の幸福度の高さを裏づけています。
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自分が今は望ましい状態ではないと思ったら、いつでも適切な変化を起こすことができる環境がある、それはアメリカンドリームでは叶えられない社会的流動性の高い社会です。

アメリカンドリームは成功を掴み続ける幸運な人だけを救う仕組みで、途中で失敗して脱落する人を拾うセーフティネットを備えていないからです。
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もちろん、個性的で特別な才能が埋もれず、それ以外の大多数の人々が幸福に過ごすことができる、その両面を備えた社会を実現できる道もあるかもしれません。

しかし、現時点では、最大多数の最大幸福に最も近い北欧の国々に学ぶべきことがたくさんあるようです。

良いと思ったことはどんどん取り入れる、試してみるという姿勢が、人間の社会の進化を促します。

このシリーズでご紹介してきた北欧の姿はほんの一部。

これを機に北欧の国々にご興味を持たれる方が増えたら幸いです。

この長いシリーズにお付き合い頂き、ありがとうございました。皆様からのいいねやコメント、励みになっています。