昨年の5月に八重山病(やいまやまい)にかかってしまい、

それを直す薬は、八重山にしかないことがわかり、今回は

西表島に行ってきました。

石垣島からフェリーで約45分、上原港で降りる。

宿泊は星野リゾート、ニナカナイでした。


毎日30度を超えるカンカン照りの中、舟に乗ってサンゴ礁を

見たり、真っ白な砂浜を見たり、自転車に乗って滝を見に

行ったり、街道でマンゴーを食べたり、電信柱に止まっている

カンムリワシを見たり、ジャングルの中を歩き回ったり、

夜になって、イリオモテヤマネコを探しに行ったり、真っ暗な

砂浜で波の音を聞いたり、満天の星を眺めて、ずいぶんと

遠い島に来たのだと思った時、病が治った感じがしたのに、

やがて去る時が来て、石垣島を飛行機が飛び立ってしば

らくすると、恋しい病がまた、すーっと、体の中に沁み入って

くるのでした。


浦内川の船着き場に着いた時のこと。壁に一枚の捜索願い。

2002年、森の中を歩いていた若者が一人、パーティーを

離れ、単独で奥地に入り、いまだ下山していないとのこと。

彼は、森の中で出口が見つからず、苦しんだのか、その

苦しみの果てに、ここで森に溶け込むことに最後の幸福を

感じたのか、本当のことが知りたいと思う。

天国のような楽園は、楽園であり続けたのか、それとも

苦しい最期の土地と背中合わせだったのか。


彼の行方を思い描きながら、舟はゆっくりとマングローブの

生い茂る河口を遡り、森を奥へと進み、おだやかで静かな

木々の中で、私は、ふわっと浮き上がって、森の遠くへ吸い

込まれていくような感じがしていました。


やいまやまい。

微熱は、まだ続いています。




美郷の伴さんとご飯を食べる。


彼は九州男児で、男気があって、情に厚い料理人だ。

一昨日は、開店5周年のパーティーがあって、仕事を

しなければならなかったのに、と思いながらしぶしぶ

美郷のパーティに出た。

彼の店に集まる顔ぶれを見て、ここで愛されているの

だなと思った。店に来ない方がよかったかなと思って

いた自分がやや恥ずかしい。


人はいつも、自分の行動の先を、結果が分かっているか

のように想像をして、結論を勝手に作ってしまう。

そして、これはつまらない結果になりそうだと思うものは

避けて通ろうとする。

でも、やむを得ず、そのつまらなくなるだろうと思っていた

ことにしぶしぶ関わっていくことになり、そこで、自分が

予想もしていなかった結果に向かっていく時、それも

そこに、驚きとか、嬉しさとかが絡まっていく時、人生と

いうものは、先を見越して行動してはいけないものだと

胸が苦しくなってしまう。


だから、出会いというものは、過度に期待してはいけない

けれど、自分のイメージで勝手に結論付けて思っては

いけない、語ってはいけないものなのかもしれない。


伴さんはいい男。情にもろくて、女好きで、酒好きで。


その伴さんと一緒にする仕事が2日後に迫っている。


昨夜は雨、肌寒いモスクワの街を歩きながら、

男、伴宗親の晴れ舞台に大きな花が咲くことを

期待して、いよいよ、僕のラストスパートが始まる。




八重山に行ってきました。那覇で乗り換えて石垣まで約1時間。

行く前までの天気予報は雨でしたが、島の天気は変わりやすい

とのこと。着いた翌日から毎日、真夏のまぶしい太陽が

振り注ぎました。

さらに船に乗って小浜島へ。島の一番高い山にある展望台に

登ると向かいの竹富島が見えました。そこで会ったアメリカ人から、

「竹富島はパラダイス。映画のセットを見ているようだ。」と聞き

ました。その人は竹富で2泊したそうで、ここから帰りたくないと

言っていました。

私はその後、小浜島のさとうきび畑を自転車で抜けて船着場へ。

そして船に乗って竹富島へ行きました。


竹富島では、時間が止まっているのではないかと思うほど、

ゆっくりと時が流れていました。

道を歩くと、すれ違いに島の人から挨拶をされました。

「こんにちは」。さらに歩いて行くと、花壇を積んだトラックの

荷台に乗った女子高生達から、「こんにちは」。


島の人たちは、小さなころから、島の外の人が来た時には、

こんにちはって言いなさいと、躾を受けたのでしょう。

穏やかで暖かいおもてなしです。


瓦屋根の家が続く路地の角から人が現れては、「こんにちは」

の挨拶を受けて、私は、だんだんと幸せな感じになってきました。

観光客を乗せて、白砂の道をゆっくりあるく水牛車。

聞こえてくる三味と八重山の唄。

ここを天国と言わず、なんといえば良いのでしょう。

街は決して経済的に豊かではないだろうに、それを感じさせ

ない暖かさ。


島を去った本土の人は、みな病気になるそうです。

病名は八重山病(やいまやまい)。胸が苦しくて、せつなく

なる病気だそうです。薬は本土には無く、八重山に行かないと

見つけられないそうです。

私も、病にかかってしまい、それを治す薬を求めて八重山に

行って、治って帰る時に、また病にかかって・・・。