「なんか出前でも取るか?」
「翔ちゃんが好きだから、餃子作ろうと思ってたんだけど…」
「お!お袋の餃子、食いたい!!」
「そ、そう///じゃあ作ってくるわ!!」
「良かったら、俺も手伝っても…いいですか??」
「え…?い、いいわよっ!ゆっくりお父さん達とお話でもしてて…。」
「俺、料理するの好きなんです!!翔ちゃんの好物のお母さんの餃子の味も知りたいです…。」
「お袋、雅紀マジで飯作るの上手いから、手伝ってもらえば?俺は手伝えないけどwww」
「翔ちゃんには期待してないわ…」
「母さん、手伝ってもらえばいいじゃないか!」
「え?じゃあ…そう…しようかしら…。」
「はい!!なんでも言ってください!!翔ちゃん、ちょっと行ってくるね!!」
「おぅ!美味いの頼んだぞっ!」
「はーい!!」
2人はそのまま、キッチンへと入っていった。
「良さそうな子じゃないか…。」
「あぁ、めちゃくちゃ良い奴だよ。星が亡くなって、ほんとに俺必死だったんだ…。空は、空だけは俺が何としてでもきちんと育て上げるんだっ!!って気合いばっかり入っちゃってて…でも、よくよく考えたら、俺…家の事、何も出来ねぇってなって。ひょんな事から一緒に暮らすようになって、ほんと助けられたし、気持ちにもゆとりが持てたんだ。肩の力が抜けたとでもいうのかな…。そのうち、空に接する雅紀の姿とか、空が雅紀に懐く姿とか見ているうちに、その…なんかいいなぁって…///星と居た時みたいに、穏やかな気持ちになれて、居心地が良かったんだよね。で、これからも一緒に居たいなぁなんて思うようになってて。自分でもびっくりなんだよ、まさか対象が男だなんて…。って言うか、男だからというよりは、雅紀だから一緒に居たいって思えたんだよね…。」
「そっか…。ただ、翔?今一度確認だが、今はそういう事への偏見というのは、だいぶ薄れてきたが、それでもまだまだ、好奇な目でみる人もいるだろうし、空がその事で何か言われることも今後、あると思う。その覚悟、お前には出来てるのか??もしかしたら、空だって今は良くても、思春期になってそのことが原因で不登校とか、引きこもりという事にも繋がらないとも言えない。そうならないように、しっかり空の心のケアについては考えているのか?」
「そういう事も頭の中では想像もしているし、そういう事が起きた時は、きちんと話し合える関係を今から築いていこうと思ってる。もしかしたら、親父やお袋にも嫌な思いをさせてしまうこともあるかもしれない。それは先に謝っとく。申し訳ない。でも、雅紀を見てると、なんだろう…なんかそういうことも全部大丈夫な気がしちゃうんだよね。雅紀の事を嫌いになる人間が居ないって言うのかな。あいつにはそういう素質があるというか、才能があるというか。」
「あー、なんか分かる気がするな。人を惹きつけるオーラがあるというか、なんか人柄が滲み出てるというのかな…彼を嫌う人は居ない…そんな雰囲気があるよな。」
「そう!そうなんだよ!!ほんとに良い奴なんだ…。」
「お前、ベタ惚れだなwww」
「いやっ、えっと…まぁ、そうかな///」
「まぁ、ただ母さんがすぐに理解出来ない気持ちも、分かってやれ!!俺だって、内心は動揺してるんだ。母さんなんて、もっとだぞ…。母さんも彼を知れば、段々歩み寄れるだろう!」
「そうだといいな…。」
親父と話しながら、台所にいるお袋と雅紀を見つめた俺だった。
つづく
翔ちゃん、お父さんとしっかり話が出来ましたね
親心を思うと、そう簡単な問題ではないですよね
でも、きっと雅紀くんを知っていって貰えれば、道は開けると思います
頑張れ、雅紀くん