櫻葉・相櫻小説ですハートグリーンハート

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「これは、返します…。」


見合い写真をテーブルに置き、お袋の方へと差し出した。


「雅紀は、家を出ていったよ。この写真の事、俺が話すことが出来なくて、掃除をしてる時に見つけてしまったんだ。雅紀は優しいやつだから、お袋の気持ちや今後の空の事…色々考えてしまったみたいで、一緒に居ない方がいいんじゃないかって、そう思ったみたい。」


「ほら、その程度の思いなのよ。翔ちゃんや空ちゃんの事が、本気で好きだったら離れないはずでしょ??」


「お袋、それは違うよ?好きだからこそ、怖くなってしまったんだよ…。周りから反対されること、空が好奇の目に晒されてしまうかもしれないこと…雅紀は俺たち2人のことを真剣に思うからこそ、家を出たんだ。」


「でも、お母さんはその判断は正しいと思うわ!翔ちゃんが、男の人とそういう関係になるなんて理解できないし、空ちゃんだって可哀想よ!これからその事で、きっと周りから色々言われて、嫌な気持ちをたくさんすると思うわ。そんなの考えただけで、私には耐えられない。空ちゃんがいじめに合うかもしれない、翔ちゃんと空ちゃんが好奇の目に晒されかもしれない、そんなの絶対お母さんは嫌よ!!」


「お袋、落ち着いて…」


「お母さんは落ち着いてますよ!!それより、翔ちゃんが落ち着いて、冷静になりなさい!!」


「俺さ、子育てには積極的に参加しているつもりだった…だけど、星が亡くなって参加してるつもりだっただけで、俺…空の事なんにも分かってなかったんだ…って気付かされたんだよ。ほんとに、夜泣きだってどうしていいか分からない、空の好きな食べ物だって、分かってるようで分かってない…着させる洋服の組み合わせだって分からない…とにかく分からないことだらけな上に慣れない家事で、ほんとはすごく俺、苦しかったんだ…。なんで俺だけこんな目に合うんだって!!空の心配より、俺自身の気持ちを優先してた。きっと空も気付いていたと思う。今思えば、俺の顔色を伺いながら生活していたように感じるんだ。だけど、雅紀が来てくれてからの空は、ほんとに変わったよ!!たくさん甘えて、たくさん笑って、たくさん話をするようになった。雅紀がいることで、星を失った穴を埋めているかのように…。俺だけでは、その穴は埋められなかったんだよ。始めは俺だって、雅紀にそんな気持ちを持っていたわけじゃないんだ。助かるなとか、有難いなとか、最初は感謝の気持ちだった。だけど、一緒に暮らしていくうちに、空と一緒に笑ってくれるその笑顔に惹かれていった。これからも3人で笑っていたいって思ったんだ…。お袋がどうしても受け入れられないって言うんなら、俺たちと縁を切ってもらう事だって覚悟してきた。それぐらい本気なんだって事を分かってもらいたくって…。」


「え、縁を切るって!!そんな、何を言ってるの??翔ちゃん、本気でそんな事思ってるの??雅紀くんに言わされてるのよね?そうよ、翔ちゃんが私たちと縁を切るだなんて、そんな事言う子じゃないもの!!」


「母さん、落ち着きなさい。」


「私はっ、落ち着いてるって言ってるでしょっ!!!」


「確かに理解し難いことかもしれない、正直、俺だって内心は動揺している…。だけど、翔と空が今雅紀くんを必要としているんだ。その気持ちはわかってやってもいいんじゃないか??」


「男の人が男の人を必要としてる??何を言ってるの??お父さん!!あなた、正気ですか?」


「母さん、今は時代と共に少しずつそういうことだって理解されてきている…これからの翔と空の未来は、そんなに悲観的にならなくてもいいと思う。それに俺たちだって、1度雅紀くんに会ってみてもいいんじゃないか??雅紀くんの為人を見てから判断してもいいと思うぞ?」


「何言ってるんですかっ!!そんなのっ、そんなの、私は絶対に認めませんっ!!そんなに大変で苦しいなら、翔と空でここに越してくればいいのよ!!そうよ、使ってない部屋もたくさんあるんだし!!それがいいわっ!!お母さん、反対だったのよ、あなたたちが2人で暮らす事!!だってそうでしょ?翔は仕事をしなくちゃいけないんだもの、子育てと仕事の両立なんて、そんな事が最初から無理な話だったのよ!!私が空ちゃんの面倒は見るわ!たくさん話も聞く、たくさんお出掛けも一緒にする、洋服のセンスだって翔よりはマシよ、そうね、それがいいわ!!えっと、いつ引っ越すようにしたらいいかしら??」


「お袋…」


「来週!!急だけど、来週には引っ越しましょう!!そうと決まれば、引っ越し屋さんを頼まなきゃだわね…えっと、どこがいいかしら…」


「お袋っ!!」


ビクッ


「俺は引っ越すつもりはないよ…ごめん…。」


「なんで…なんでそんな事言うの…翔っ!!うぅ…お母さん、嫌よ…絶対に嫌っ!!」


その時だった。
和室で寝ていた空が、起きて泣き出した。


「うわぁーーーん、どこ??どこなのぉー??」


「あら、大変っ!!空ちゃんが起きちゃったわっ!!」


お袋は襖を開けて和室に入ると、空を抱き上げた。
しかし、空は暴れることをやめない。


「いやぁー!!どこなのぉ…??」


「空ちゃん、ばあばよ!大丈夫よ、ばあばが来たからもう大丈夫!!ほら、落ち着いて…ね?よしよし…」


「いやぁー、ばあばじゃない!!まさきせんせいーー!!まさきせんせいがいいのぉーー!!うわぁーーん、まさきせんせいーー!!」


「空ちゃん…。ほら目を覚ましてご覧なさい?ばあばよ?空ちゃんっ!!!」


空の体が一瞬お袋の声にビクッとした。
けれど、またすぐに泣き出し


「まさきせんせい…ぐすっ…まさきせんせいがいい…まさきせんせい、どこぉ…ぐすっ…」


俺は空の元に行き、母親から空を受け取り


「空?雅紀先生のところ、行こうな?雅紀先生も空のこと大好きだって…」


あんなに暴れていた空だったが、雅紀の名前を出しただけでピタリと動きを止めて、俺の胸にくっつきしゃくりあげながら、またスースーと寝息を立て始めた。


そんな空を、お袋は見た事もないようなものを見るかのように見つめていた…。



つづく


お母さんの気持ちも分かりますよね…泣くうさぎ
そんなに簡単に認められる問題でもない…上差し
我が息子がもしそんなカミングアウトをしてきたら…そんな気持ちになって読んでいただけたら幸いですお願いアセアセ
そして空くん…やはり心が少しずつ悲鳴をあげ始めましたね滝汗
辛い場面続きますが、ついてきてくださいっ泣くうさぎ泣くうさぎ泣くうさぎ