雅紀が家を出たその日…
空は笑顔で雅紀を見送った。
けれど、夜が近付くにつれ、段々と元気がなくなってきた。
「空??パパと一緒にブロックで遊ぶか??」
「ううん…。ブリョック…やんない…。」
「じゃあ、ぬいぐるみでおままごとでもするか??」
「…うん。」
「よしっ!!じゃあ、パパ何のぬいぐるみ持ってこようかな〜??確か、熊のぬいぐるみがあったよな??持ってくるから、待ってろ!!」
俺は急いで寝室から、熊のぬいぐるみを持ってきた。
このぬいぐるみは、生前星が大切にしていたもの。
きっと空も元気…出るよな??
「空〜、持って来たぞ!!」
「うっうん!!こんにちは!!あなたお名前、なんて言うの??私はダッピィー、よろしくね!!」
「…ぼくはチロイリュカのチロちゃんでしゅ…よろちくね…」
「一緒に遊びましょ?何して遊ぶ??」
「…あちょばない…。」
「あら?どうして??一緒に遊んだら、楽しいわよ??」
「あちょびちゃくないかりゃー!!」
「…そうなのね、じゃあまた今度遊びましょうね…」
「……。」
空は、熊のぬいぐるみに背中を向けてしまった。
星のぬいぐるみでもダメか…。
空にとって、雅紀の存在…でっかいよなぁ…。
「空…寝るか??」
俺に背中を向けたまま、首だけ小さく頷く空。
後ろからそっと抱き上げ、寝室まで連れていった。
空が俺の部屋着にギュッと捕まり、もう片方の手では、シロイルカのぬいぐるみを強く抱きしめている。
雅紀が戻ってくるまで…空、耐えられるかな…。
いや、何弱気になってんだ!!
俺が側にいるんだ!!
パパ、頑張るからな!!
空をベッドに横にし、後ろからそっと抱きしめながら、お腹の辺りを優しく撫でてやった。
少しでも安心できるように…と願って。
そのうち、スースーと空の寝息が聞こえてきた。
ほっ…寝かせられた。
空の顔を覗き込むと、シーツに小さなシミ…。
目の横には、涙の跡がいく筋もついていた。
空…寝ながら泣いてたのか…。
俺は空の頭を優しく撫でて
「パパも寝る準備したら、すぐに来るからな…」
そう空に向かって呟くと、夕飯の片付け、明日の準備、歯磨きなどを済ませ、寝室へと戻った。
空の横に潜り込むと、ピコンとスマホの通知音が鳴った。
雅紀か??
急いで画面をみると、そこには智先生の名前があった。
つづく
空くん…笑顔で見送ったけれど、やはり段々寂しくなってしまいました
空くんも心配だけど、翔ちゃんも心配
そして、智先生からのLINE…
なんて書いてあるかな