翔ちゃんに抱きしめられている間、本当はこのまま時間が止まればいのにって思った俺だったけど、そんな甘えたことを思ってちゃダメだと、そっと翔ちゃんの胸を押して、翔ちゃんから体を離した。
上目遣いで翔ちゃんを見つめると、翔ちゃんの顔が近付いてきて、ゆっくりとおでこ、両瞼、鼻、頬、そして唇に…翔ちゃんのキスの雨が降ってきた。
「雅紀…待ってるから…」
翔ちゃんはそう言うと、もう一度俺の唇に翔ちゃんの唇をゆっくりと重ねた…。
バタバタバタッ
ガチャッ
「まさきせんせーーい!!」
その時、空くんが廊下を走って、寝室に飛び込んできた。
俺と翔ちゃんは慌てて離れ、何事もなかったかのように振る舞った。
「…パパ…なにちてたの…」
「な、なんもしてねーよ!!」
「あやちい…」
「って、ってか、空くん?どうしたの??」
「あ、ちょうだった!!まさきせんせい、はいっ!!」
空くんの手に握られていたのは、この間のガチャガチャで松潤に買ってもらった、ウミガメのふわふわぬいぐるみ…。
「え…??」
「まさきせんせい、ちゃみちくなっちゃら、このカメしゃん、ぎゅーーーってちてねちぇね??」
「…でも、空くん…これ、大事にしてるぬいぐるみでしょ??いつもシロイルカさんとこのカメさんと一緒に寝てるじゃん…。」
「空はー、ちゃみちくなっちゃりゃ、チロイリュカしゃんをぎゅーってちて寝るから、まさきせんせいはこのカメしゃんをぎゅーってちていいんだよ!!」
「空くん…」
「まさきせんせいがかえってくりゅまで、空おりこうしゃんにまっちぇるよ!!だから、まさきせんせいも、おちょもだちのおうちでがんばっちぇきちぇね!!」
「空くん…ありがとう…ぐすっ、先生頑張るからね!!」
「うんっ!!まさきせんせい、いっちぇらっちゃい!!」
「空くん!翔ちゃん!いってきます…。」
こうして、俺は荷物を纏めて、ニノと智先生の家へと向かった。
ピンポーン🎶
「はーい、どうぞー!!」
「お邪魔します…」
「おー、まーくん来たな!!自分家だと思って、ゆっくりしていけ〜!!」
「あ、ありがとうございます…」
「狭いから、あんまりゆっくり寛げないかもだけど、遠慮はなしでやっちゃってください!!俺の仕事部屋、夜は使ってもらって構わないんで…。」
「ありがとう…ニノ。」
「空は、平気だったか??なんて言って出てきたんだ??」
「…友だちが怪我をしちゃったから、そのお世話をするって…」
「うんうん、それなら空も傷付いてはないな!まぁ、これから少しずつ寂しさは感じるかもしれねーけど!!ま、そこは同じ保育園だから様子はみれるしな!!まーくん、気を付けてみてやれよ!!」
「はい…」
「よしっ!じゃあ、明日も仕事だし、さっさと飯食って、風呂入って寝るか…」
こうしてニノお手製の夕飯をご馳走になり、風呂にも入らせてもらった俺は、ニノの仕事部屋の仮眠用ベッドに横になった。
鞄の中から、空くんが貸してくれたウミガメのぬいぐるみを取り出すと、そっと頬に近付けた。
ウミガメのぬいぐるみからは、空くんの香りがして、俺の方が既にホームシック状態で空くんに会いたくて堪らなくなっていた。
つづく
とうとう、翔ちゃんのお家を出てしまった雅紀くん…
既にホームシックな雅紀くん…
空くんの可愛さや優しさが既に懐かしくなっています
空くんは…大丈夫かなぁ…