櫻葉・相櫻小説です
苦手な方はこちらで回れ右ー、お願いします
大丈夫な方、お付き合い頂けたら嬉しいです
よろしくお願いします
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「ただいま…」
「…雅紀…おかえり…」
智先生から、翔ちゃんにはもう連絡が入っているのだろう…。
俺を見る目が、何かを訴えている。
俺は思わず、翔ちゃんから目線を逸らしてしまった。
後で、きちんと話をしなくちゃ…。
空くんはソファーの前のローテーブルの前で正座をしながら、何やらブツブツ呟いている。
何かに集中していて、どうやら俺が帰ってきたことに気付いていないようだ…。
何をしているんだろう…?
後ろからそっと覗き込むと、ビスケットのチョコレート菓子を机に並べている。
そこには、翔ちゃん、空くん…他にもニノや智先生、つき組のお友だち…そして、俺の名前が刻印されたお菓子が並んでおり、そのお菓子を前に何かを悩んでいる様子。
「『しょう』と『じゅん』は、パパにあげちぇ、『さとち』とニノちゃんの『かじゅなり』はまさきせんせいにあげちぇ、『あおとくん』『かいとくん』『うみくん』は空がたべちぇ…まさきせんせいの『まさき』は…じぇーーーったい、空がたべりゅでちょー!!」
空くん…お名前のついてるお菓子、買ってもらったんだ…で、そのお菓子を翔ちゃんと俺にも分けてくれようとしてるんだね…。
『まさき』は絶対、空くんが食べるって…。
空くん…どんだけ俺の事好きなんだよ…。
それなのに、俺は今から空くんの元をはなれようとしている。
俺はまた、空くんに悲しい思いをさせてしまうかもしれない…そう思ったら、いく筋もの涙が頬を濡らした。
洋服の袖口で涙を拭い、空くんにバレないように声を殺して、俺は溢れる涙が頬を濡らさないよう拭い続けた。
そして、最後に1つ残った『そら』のチョコレート菓子…。
腕を組みながら、うーーーんと悩む空くん。
そして大きく頷くと
「きめちゃ!!『そら』のなまえは、まさきせんせいにあげよっ!!ちゅぎに『そら』がでちゃりゃ、パパにあげよっと!!」
そう言うと、『そら』の名前のチョコレート菓子を小さな手でつまみ、『さとし』と『かずなり』の方へと移動させた。
そして後ろを振り向き、びっくりした表情で俺の顔を見ると
「まさきせんせいーー!!かえっちぇたのぉー??」
と抱きついてきたかと思うと、次にまじまじと俺の顔を見ると、心配そうに
「…まさきせんせい…どうちたの??ないちぇるの…??どこか…いちゃいの??」
と優しく声を掛けてきた。
俺は空くんの目線までしゃがむと、そっと空くんを抱きしめた。
「空くん、ありがとう…。雅紀先生、どこも痛くないから安心してね??」
「よかっちゃーー!!でも、まさきせんせい…げんきない??」
「あのね、空くん…今から雅紀先生が話すこと、最後まで聞いてね…。空くん、もしもお友だちが何か困っていたら、空くんならどうする?」
「うーん…たちゅけてあげりゅー!!」
「そうだよね?空くんは優しいから、きっとウルトラマンとか、仮面ライダーみたいに助けちゃうよね…。雅紀先生にもね、とても大切なお友だちがいるんだけど、そのお友だちが今、怪我をしちゃって困ってるんだ…。でね、そのお友だちの事を雅紀先生、助けてあげたいんだ。だから、今日からそのお友だちの所に行って、お友だちの怪我が治るまで助けてあげようと思うんだ…。」
「おちょもだち、いちゃいいちゃいなっちゃっちゃの??」
「…うん…。そう…なんだ。だから、今日からお友だちのお家に、お泊まりしなくちゃ…なんだ…よね…。」
「えっ…まさきせんせい、空といっちょにねりぇないの??」
「…うん…そうなんだ…。」
「おちょもだちのおうちには、なんかいおちょまりちゅるの??」
「…うーん、何回かな…??お怪我が治るまでだから、少し長くなっちゃうかもしれないね…。」
そう伝えると、空くんは下を向いて黙り込んでしまった。
そうだよね…。やっぱり空くんに急にそんな事を告げるのは酷だよね…。
俺…やっぱり…!!
と思った、その時!!
空くんが顔をパッと上にあげ、瞳には大粒の涙を浮かべながらも、ニッコリ笑って俺に向かってこう言ったんだ。
「まさきせんせい??おちょもだちのこちょ、たちゅけてあげて??空、ちゃみちいけど、がんばりゅっ!!だかりゃ、おちょもだちのちょこ、いっちぇいいよ!!」
「空くん…。」
「でも…おちょもだちが、げんきになっちゃりゃ、また空のおうちにかえっちぇくりゅ??」
「…うん…そうだね…ぐすっ…空くん、ごめんね…」
「まさきせんせいも、おちょもだちのウリュトリャマンになっちぇあげなくちゃね!!」
「うん、うん!!お友だちに早く元気になってもらうから…空くん…ぐすっ、ごめん、ほんとにごめんね…うぅっ…」
「まさきせんせい、なかないで…まさきせんせいがなくちょ…空もちゃみちく…なっちゃうかりゃ…う…うわぁーーーん!!」
涙を我慢していた空くんの目から大粒の涙が零れ落ち、抱きしめた俺の服を濡らした。
俺と空くんは抱き合って、たくさんたくさん涙を流したんだ…。
しばらく抱き合っていたが、急に空くんが俺から離れ、ローテーブルの所へ行き、さっきのチョコレート菓子を手に持って戻ってきた。
「まさきせんせい…おちぇちぇだちちぇ?」
「うん…」
俺が掌でお皿を作ると、俺の左手に『さとし』『かずなり』『そら』のお菓子。俺の右手に『かいと』『あおと』『うみ』のお菓子を乗せた。
そして、俺の左手を指差し
「これは、まさきせんせいの!!」
俺の右手を指差し
「これは、まさきせんせいのおちょもだちの!!はやくげんきになっちぇね!!」
そう言うと、ニコッと笑う空くん。
「雅紀先生とお友だちで一緒に食べるから、空くんこっちのは空くんが食べな??」
そう言ってつき組のお友だちの名前のチョコレート菓子を返そうとすると、空くんは手に持っていた『まさき』のチョコレート菓子を俺に見せ
「空はこりぇがありゅかりゃ、だいじょーぶ!!まさきせんせい?『そら』のおかちは…おちょもだちにあげないでね??」
そう言って、またニッコリと笑ったのだった。
つづく
雅紀くん、空くんにとうとう嘘をついてしまいましたね…
きっと、心がとってもとっても痛いはず…それなのに、空くんはこんなに健気に雅紀先生の帰りを待つと覚悟を決めたよう
雅紀先生も、離れてしっかり覚悟決めてきて、また戻ってきて欲しいですね
空くんの画と、『そら』のコアラのマーチの画は、お友だちがくださったものです
決して持ち帰りすることのないよう、お願い致します