玄関の鍵を閉め、溜息をひとつ…。
その時、俺のスマホが鳴った。
慌ててリビングに戻り、着信を見ると潤からだった。
「翔くん??お母さん、まだいる感じ??もう少し時間、潰したほうがいい??」
「わりぃ!!今、帰った!だから、帰ってきてくれて良いよ!!」
「わかった!!ってか、今日まぁのこと、会わせれば良かったのに!」
「いや、それはお前っ///順序ってもんがあるだろ!」
「そりゃ〜そうだけど…俺はいいチャンスだったんじゃねーの?って思ったけど?」
「そ、そこは追追だなぁ…!!」
「あんま先延ばししてっと、いい事ねぇぞっ!!」
「わ、わかってるよ///」
「じゃあ、とりあえず帰るわっ!!」
「おぅ!!」
通話を切るため、赤いマークをタップし、今日のお袋との会話をどう雅紀に話そうかと悩んでいると、玄関のチャイムが鳴った。
やべっ!!これ、どうすんだよぉーー!!
俺は、お袋が置いていった見合い写真をどこに仕舞うか焦っていると、ガチャっと玄関の解錠される音が聞こえ、慌ててソファーの下の引き出しに見合い写真を突っ込んだ。
「パパーー、ちゃぢゃいまーーー!!」
「お、おう!!おかえりぃーーー!!良い子にしてたか??」
「うんっ!おりこうだったかりゃ、じゅんがガチャガチャやらちぇてくりぇちゃよ!!みちぇっ!!」
「おぅ、良かったな!!潤、悪かったな!」
「いや、全然!!」
「なにがはいっちぇるかな??」
「空くん、とりあえず手洗い・嗽してから、開けようか?」
「うんっ!!」
「ふふ、空くん良い子っ♡」
そして、洗面所に向かう雅紀と空。
その姿に安堵し、はぁ〜と溜息をついた。
「翔くん、お母さんなんの用だったの?」
「いや、えっと、なんだったっけな?ははっ」
「…翔くん…何があった??誤魔化さないで!」
「…わかったよ!雅紀には言うなよ!…お、お見合い写真持ってきたんだよっ!」
「ええーーー!!」
「しーーーーっ!!!!」
「あぁ、わりぃ!!マジで?」
「あぁ…」
「断ったんだろ??」
「当たり前だろっ!!で、雅紀の事話したら、パニクって帰っちまったんだよ!」
「まぁの話したんだ?」
「そりゃ〜、この流れだったらするだろ?」
「まぁ、そりゃーそうか…で、どうすんの?」
「どうするもこうするも、とりあえずゆっくりでも分かっていってもらうしかないだろう??」
「そうだな…あ、まぁと空、戻ってきた!!」
「とりあえず、この話はおしまい!!」
「わかった!!」
リビングの扉が開き、雅紀と空が楽しげに会話をしながら入ってきた。
「空くん、ガチャガチャ開けてもいいよぉ!!」
「わぁーーい!!なにがでりゅかな〜??」
カパッ
「うわぁぁぁ、空のほちかったうみがめしゃんだぁー!!やっちゃーーー!!!」
「良かったね、空くん!!」
「うん!!チロイリュカシャンもってくりゅー!!」
「うん、いってらっしゃい!!」
空は寝室に走っていってしまった。
それを見送る雅紀の優しい眼差し…。
雅紀と空のたわいもないやり取りを見て、この時間を、この関係をこれからも壊したくないと、俺は心に強く思ったのだった。
つづく
翔ちゃん、潤くんにだけ話すことが出来ましたね
1人で抱えるにはちょっと重い内容だし、また潤くんも翔ちゃんの様子を見て、何かあったと察したようでした
潤くんが相談に乗ってくれるでしょうけど、雅紀くんにいつまで隠し通せるかなっ
あ、ちなみに空くんがやったガチャガチャはこちらのイメージです🐢